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2008年9月16日 (火)

住基ネットがはき出す、大量の赤い紙

 高橋総理と僕はその日二回め、生涯で六回めとなる、最後の握手をして別れた。
 赤い糸なんて、余計なことを言わなければいいのに。

 高橋総理はFEディレクターを兼務している。
 その在任中に国内の総理を辞めるのは具合が悪いということで、総理としては異例の三期九年続投となっていた。

 その高橋政権も残り 2週間。
 その 3か月後には、10年務めたFEディレクターの任期も終える。
 日本のトップと、アジアのトップ。
 その重責が彼の身体にかけた負担は相当なものだろう。
 高橋さんの今後の健康を祈る。

 「一億人維持法」は、IDO法を成立させた高橋総理の、最後の大仕事であり、彼と法務省の悲願。
 川村総理、水野総理から高橋さんが引き継いできた、大切なバトンだ。

 一通のレポート
 2012年秋、内閣府の一官僚から総理宛に一通のレポートが提出された。
 川村総理が就任した直後という時期だった。
 その要旨は次の通り。

 2004年12月に 1億2783万人でピークとなった日本の人口は、2050年に一億人を割る。2100年には7,000万人を割る。

 最低国防能力を現役 23万人、予備役 7万人と仮定した場合、現役 53,000人、予備役 13,000人が不足する。
 諸外国に予断を与えないためには、2050年、人口一億人割れのタイミングで徴兵制に踏み切る必要がある。

 初めは予備役の徴兵という形で入ってもよいが、人口9,000万人割れのタイミングでは現役の徴兵に切り替えなければならない。

 ただし、我々は真摯に考えなければならない。
 もし仮に徴兵制が敷けたとしても、それは日本が100年続けてきた、子供達に自由な進路を保証する社会からの撤退を意味する。

 「国を守るのは国民の義務です」
 「大韓民国みたいに徴兵制がないから、日本の若者は態度が横着なのです」
 「徴兵制があるくらいの方が、若者はしゃきっとします」
というのは、日本の信義ではない。

 日本が人口を維持するには合計特殊出生率 2.08以上が必要。
 人口一億人割れの前に、お題目ではなく実際に出生率を上げる策を打たなければならない。

 そのレポートの主が誰かを僕は知らない。
 総務省マターである人口対策。
 防衛省、内閣府マターである徴兵制。
 川村総理は、これを国民的議論に訴えることは「究極の無責任」である考えた。

 首尾良く人口増加策が法制化されればよいが、失敗した場合は一億人に責任を転嫁しただけだ。

 横軸の連携が困難な中央省庁
 政局に持ち込もうとする野党
 悲観論をあげつらうメディア
 それに追随して、悲観を楽しむ国民

 議論の間に時間だけが過ぎ、やがて人口は七千万人を切る。誰も責任を取る人はいない。

 そして、住基ネットは、ついに大量の赤い紙をプリンターからはき出すことになる。



次回は9月19日に掲載します。

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