2008年10月10日神宮球場 ヤクルト-巨人
10月10日
昔ならば体育の日
この日、会社に行くことの違和感をもう感じなくなった。
セリーグ優勝が決まると予想したこの日。
阪神が負けて、巨人が勝つという2つの条件が揃わないと、その予想は外れる。著しく可能性は低く感じられる。
しかも、夕方から東京は雨
お昼はあれほど気持ちよく晴れていたというのに。
当然、横浜にも降っているだろう。
どちらかの試合が中止になるという要因も加わった。
外苑前の駅を降りる。
それほど人通りは多くない。
雨は小降りになっている。
横浜の雨はどうだろうか。
今日もとなりの秩父宮ラグビー場では、ラグビーのトップリーグが行われている。
「こちらは秩父宮ラグビー場です。お間違いのないようお願いします」
前回、神宮に来た日はトップリーグの開幕日。
神宮球場をはさんで反対側にある国立競技場では嵐のコンサート。
試合中、ラグビーのトップリーグで数回花火があがった。
その花火を嵐のコンサートの花火と思った人が多く、観客は「嵐に負けてんじゃねぇ」といい、野球評論家は「アイドルグループのコンサートの花火が緊張感を削いだ」と書いた。
人々の情報とは、いい加減なものだ。
一塁側内野スタンドは、ほとんど空席。
三塁側は内外野ともに八割方埋まっている。
20分試合開始が早い横浜で、阪神がリード
巨人戦初登板のゴンザレスを打ちあぐねていた巨人にも点がはいる。
後ろの席に座っている小学生。
おじいちゃんと観戦に来ている。
四六時中、しゃべっている。
「今日負けたらどうなるの?」
「阪神が勝ったらどうなるの?」
「グライシンガーは押さえるかな?」
次から、なぜなぜ野球教室は自宅でやっておくとよいだろう。
ゴンザレスはなぜ、打席が回る回の表で替わったのか。
球場で見ていると不可解に見えたが、後でBSフジの録画を見ると、十分に球があれていたことがわかった。
2打点をあげた阿部慎之助が担架で運ばれる。
巨人のリーグ優勝に暗雲が漂う。
二転三転、野球の神様は最後に阪神に微笑んだのか。
すると、その直後に横浜が逆転。
前日、ラミレスを4打席敬遠し、自分は勝負してもらった村田が左翼席に打ち込んだ。
巨人ファンが密かに期待していた、前夜の罪滅ぼしが現実となり、携帯で戦況をチェックしている巨人ファンは「いいぞ村田」と調子のいい賛辞を送る。
いつもならば、終盤の回終了時点で初めて知らされる他球場の経過。
この日はいつもより早く、2回裏から随時ビジョンに掲示された。
「もしかしたら、胴上げみれるぞ」
あちらこちらで、声があがる。
声援の音量が20%上がり、明らかに球場の空気が変わった。
3塁側ブルペンでは、まず林、久保が肩をつくる。
5回を過ぎたところで山口がつくる。
7回には豊田がつくる。
佐世保工業出身の香田コーチが救援投手の後ろに立っている。
高校の頃は、佐世保工業の兄ちゃんとは目を合わせられなかったが、今、彼らはとても味のある大人になっているのではないか。香田さんを見ていてそう思う。
試合中一度も座ることなく、攻守交代の時はシステム手帳にメモをとる。
ブルペンにいる投手のことではなく、マウンドにいる投手について書いている様子。
先発のグライシンガーが崩れる予兆はなく、肩を作った投手はその都度、ベンチへ引き上げていく。
前回の神宮登板では、8回を完封したグライシンガー。
(8点差があり、9回は東野が登板)
この日も失点の予感がしない。
野球教室の少年は「緊張してきた」の言葉を最後に、ぱったりと口をきかなくなっている。
8回はクルーンがつくる
「マーク」「マーク」
ファンが親しみを込めて声をかける。
投げ込みに勤しむこの救援投手は、いつからこんなに人気があったのだろうか。
ヤクルトは木田が投げている。
巨人史上初めて、ドラフト1位入団でありながらトレードに出された選手。
もう随分ベテランの域にあるはずだ。
「打たせろ木田」
そんな声が飛ぶ。はしたないファンがいるものだ。
横浜の雨が強くなり中断。
神宮の試合進行が横浜を追い抜く。
9回裏を終えたが優勝は決まっていない。
神宮ではビジターチームが勝った日も、場内にヒーロー・インタビューが流れる。
だが、ヒーローインタビューではなく、横浜スタジアムの中継が始まった。
ファン・サービス極まれりである。
警備員が外野に並び、ファンの進入に備えている。
元々、おとなしい巨人ファンが進入するとは思えない。
2000年代に入ってすぐの巨人ファンは実におとなしかった。
野球ファン全体の応援スタイルが変わり、ファン層が変わり、今巨人ファンも他球団に負けず劣らず、感情を表に出すようになった。
数分後、横浜の試合が終わり、グラウンドでは原監督の胴上げが行われる。
やたらと回数が多い。
スポーツニュースで確認したら8回。
プロ野球新記録でも狙ったのだろうか。
勝利監督インタビューの最後、インタビュアーがクライマックスシリーズに水を向ける。
相変わらずのアホだ。
143試合を戦って勝ち取った優勝の喜びに浸っている時に、なぜその先の別の大会のことを聞くのだ。
原監督はその意図には応じなかった。
五輪で金メダルをとった直後の選手に
「来月の長崎県大会に向けての抱負を」と聞くようなもの。
プロ野球がまだ純然たる日本シリーズをやっていた2003年までは、ペナントレースを制した者に「この後の大会について」聞く意義があった。
パリーグとセリーグのリーグ戦が終了した。
これから、日本プロ野球は秋の余興が始まる。
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