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2008年10月28日 (火)

「混ぜないでお飲み下さい」 ばんのアイスコーヒー

N700系で行く品川博多の旅【 +2 】

 博多に着くと最初に「ばん」に行く。
 もう10年間、この順番は変わっていない。

 「ばん」または「Van」はアイスコーヒーが美味い博多の喫茶店チェーン。
 ここの「創作冷珈琲」=アイスコーヒーを飲まないと、九州に帰ってきた気がしない。

 1杯450円。
 ロックグラス風のグラスに氷なしのアイスコーヒー。
 コーヒーはダッチコーヒーのようだ。
 その上にミルクの層が乗っている。
 この冷珈琲のアイデアは他店では見たことがない。

 「混ぜないでお飲み下さい」と書かれたコースターに乗っている。
 この指示に共感する。

 宴会の席でエビフライが出る。
 「レモンかけていい?」
 と一言の断りもなく、いきなりかける輩がいる。
 レモンをかけていいか?と言われて「いやだ」とは言いづらい。それはそれで確信犯(自分が正しいと確信して行う犯罪)だが、断りもなくという人とは相容れない。

 カレーを食べる時、いきなりルーとご飯を混ぜ始める人がいる。
 自分の分だけ混ぜているのだから、文句は言わないが、あれもあり得ない。
 食べる作法、美しさを度外視していて品がなさ過ぎる。

 「お腹に入れば、同じじゃん」
 そういう意見には共感できない。

 たとえば、カップやきそば一つとってみよう。
 水をシンクに捨てて、麺がゆであがっている。
 そこで、まず一口食べる。
 麺がもつ本来の味を知りたいからだ。
 作り手ではなく、食べる側の視点をそこに見いだす。

 つづいて、ソースを入れる。
 混ぜたりはしない。
 ソースにどっぷり浸かったところを食べる。
 これが、作り手(カップ麺メーカー)の意図する味だ。

 そして、ソースに浸かったあたりと、浸かっていないあたりの境界線を食べる。
 絶妙のバランスがそこにないか?探ってみる。
 そして軽く混ぜる。

 半分まで食べる。
 そこで初めてふりかけをかける。
 それまでの焼きそばの味とは違う。
 新しさ、楽しさがふりかけによってカップの上に立ち上がる。

 「混ぜないでお飲み下さい」と書かれた紙のコースター。
 きっと「創作冷珈琲」の開発者も、カップやきそばは、こんなふうに食べているだろう・・

 2007年にビブレの店では、紙コースターがパウチ加工され、グラスにひっつかなくなった。お店で再利用するための方策なのかも知れない。
 そう思っていたが、2008年には元に戻っていた。

 「ばん」は元々、カレーのナイルが始めた喫茶店チェーン。
 天神ソラリアプラザ6F、ソラリアステージB2F、ビブレB2F、天神コア8F、福ビル3Fなどにある。

 1980年代は、博多大丸の3Fにもあった。
 こぢんまりした空間、老舗百貨店の客層が相まり心地よい場所だったが、1999年頃閉店した。

 2002年、博多駅の「ばん」はオムライス専門店になっていた。
 「ばん」は純喫茶あり、他の料理との複合型もありと、店づくりは様々。どこも金太郎飴のコーヒー・チェーン店とは一線を画している。
 博多駅のオムライス専門店は2003年に閉店し、博多駅界隈の「ばん」はなくなった。



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