「混ぜないでお飲み下さい」 ばんのアイスコーヒー
N700系で行く品川博多の旅【 +2 】
博多に着くと最初に「ばん」に行く。
もう10年間、この順番は変わっていない。
「ばん」または「Van」はアイスコーヒーが美味い博多の喫茶店チェーン。
ここの「創作冷珈琲」=アイスコーヒーを飲まないと、九州に帰ってきた気がしない。
1杯450円。
ロックグラス風のグラスに氷なしのアイスコーヒー。
コーヒーはダッチコーヒーのようだ。
その上にミルクの層が乗っている。
この冷珈琲のアイデアは他店では見たことがない。
「混ぜないでお飲み下さい」と書かれたコースターに乗っている。
この指示に共感する。
宴会の席でエビフライが出る。
「レモンかけていい?」
と一言の断りもなく、いきなりかける輩がいる。
レモンをかけていいか?と言われて「いやだ」とは言いづらい。それはそれで確信犯(自分が正しいと確信して行う犯罪)だが、断りもなくという人とは相容れない。
カレーを食べる時、いきなりルーとご飯を混ぜ始める人がいる。
自分の分だけ混ぜているのだから、文句は言わないが、あれもあり得ない。
食べる作法、美しさを度外視していて品がなさ過ぎる。
「お腹に入れば、同じじゃん」
そういう意見には共感できない。
たとえば、カップやきそば一つとってみよう。
水をシンクに捨てて、麺がゆであがっている。
そこで、まず一口食べる。
麺がもつ本来の味を知りたいからだ。
作り手ではなく、食べる側の視点をそこに見いだす。
つづいて、ソースを入れる。
混ぜたりはしない。
ソースにどっぷり浸かったところを食べる。
これが、作り手(カップ麺メーカー)の意図する味だ。
そして、ソースに浸かったあたりと、浸かっていないあたりの境界線を食べる。
絶妙のバランスがそこにないか?探ってみる。
そして軽く混ぜる。
半分まで食べる。
そこで初めてふりかけをかける。
それまでの焼きそばの味とは違う。
新しさ、楽しさがふりかけによってカップの上に立ち上がる。
「混ぜないでお飲み下さい」と書かれた紙のコースター。
きっと「創作冷珈琲」の開発者も、カップやきそばは、こんなふうに食べているだろう・・
2007年にビブレの店では、紙コースターがパウチ加工され、グラスにひっつかなくなった。お店で再利用するための方策なのかも知れない。
そう思っていたが、2008年には元に戻っていた。
「ばん」は元々、カレーのナイルが始めた喫茶店チェーン。
天神ソラリアプラザ6F、ソラリアステージB2F、ビブレB2F、天神コア8F、福ビル3Fなどにある。
1980年代は、博多大丸の3Fにもあった。
こぢんまりした空間、老舗百貨店の客層が相まり心地よい場所だったが、1999年頃閉店した。
2002年、博多駅の「ばん」はオムライス専門店になっていた。
「ばん」は純喫茶あり、他の料理との複合型もありと、店づくりは様々。どこも金太郎飴のコーヒー・チェーン店とは一線を画している。
博多駅のオムライス専門店は2003年に閉店し、博多駅界隈の「ばん」はなくなった。
| 固定リンク | 0
「たべもの」カテゴリの記事
- 東京港に寄港した関鯨丸を歓迎に行ってきた(2024.05.28)
- 日本の商業捕鯨停止から商業捕鯨再開までの記録(2024.05.23)
- 日本の商業捕鯨に輝かしい歴史の1ページ 関鯨丸初出港(2024.05.22)
- 緑の瓶ビールが好き♡(2024.02.01)
- 「ゆで玉子名人」と「からむき上手」で、らくらくゆで玉子(2022.12.23)