ノートパソコンの原点となったコンピューター
ノートパソコンの原点となったのは、EPSONの386NOTEAだ。
今からちょうど18年前の 1990年10月現在、
ノートパソコンでは、東芝ダイナブックが先行し、後発のNEC98ノートがトップシェアをもっていた。
鈴木亜久里がサーキットで使うテレビCMを放映していたダイナブックは、機械大好きの男性を惹きつけた。
だが、当時パソコン(ノートはなかったので、デスクトップとは呼ばなかった)はNECのPC98が事実上の標準(デファクトスタンダード)
主流である98と互換性のないダイナブックには、多くの人が購入に二の足を踏んだ。
そこに登場した後発の98ノートは、確かにシェアを獲得した。
だが、ダイナブックと同様にハードディスクはついていない。
ソフトは毎回、フロッピーを入れて、立ち上げた。
つくったファイルは、フロッピーに保存した。その点では、当時大量に普及していた「ワープロ専用機」と変わらない。
しかも、ダイナブックの大きな魅力である「レジューム」が、98ノートにはついていなかった。
パソコンは一度も使ったことがないが、パソコンに強く興味を示す人。
それは、遡ること 5年前にシャープが発売した電子手帳を使っている人たち。
スケジュール、電話帳、メモ機能はとうに使いこなし、ICカードを挿して、データ管理まで手を染めていた層。
彼らはさらに高機能で、入力・閲覧がしやすいものはないか?
それを仕事でも使えるようにできないかと考えていた。
その思いは爆発しそうだった。
そんなある日、テレビを見ると、鈴木亜久里がサーキットのパドックで、コンピューターを手にして、メカニックとミーティングをしている。
東芝ダイナブックのテレビCMが流れた瞬間、積年の欲求は鈴木が手にしているあの機械で満たされることを確信した。だが、前述の理由で、いずれ登場するであろう本命を待った。
NECが、国産ノートでは初めてハードディスク内蔵モデル「PC-9801NS」を発売した数週間後、386NOTEAは発表された。
「PC98」仕様では初めてレジューム機能を搭載。これで、ダイナブックの優位を消した。
ハードディスク、ICカード、モデム、メモリー。 すべて別売とはいえ、ユーザーの手で増設して、(外付けではなく)機械の中に内蔵できた。現代のノートパソコンでは当たり前のスタイルは、1990年11月、このマシンで初めて出そろった。
エプソン386NOTEA
【 さんはちろく のーとえー 】
1990年10月17日発表、11月中旬発売。
【 スペック 】
NECのPC-98互換仕様
CPU=インテル 386SX(16Mhz) *当時ノートパソコンではもっとも速いCPU
ディスプレイ=FTN型白液晶(モノクロ)
OS=MS-DOS4.0
メモリー=640KB(最大4.6MB)
ICカードドライブ=1基 JEIDA Ver.3
重量=3.2kg(HDD含む)
本体価格=¥268,000
ハードディスク(20MB)=¥130,000
エプソンではこれ以前に「PC-286NOTE F」「PC-286BOOK」を発売していたが、386NOTEAによってノートパソコンの有力メーカーと評されるようになった。
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