「仕様です!」と言われたら・・
「仕様です」
コンピューター・システムの担当者からこう言われたことがある人は、なめられているか、他人に攻撃的で、その報復を受けているか、どちらかである。
仕様
ユーザーの要望に基づいて設計されたユーザー・インターフェース(=ユーザーが実際に使う機能)
コンピューター・システムづくりは、ユーザーの要望を、クライアント(開発費用の負担者)がSEに伝えるところから始まる。
ユーザーが要望を言う。
「郵便番号を入れたら、住所候補が出るようにして欲しいな」
これをユーザー要求という。
クライアントが、それを箇条書きにする。
クライアントが、ユーザー要求をSEに伝える。
この際、ユーザー要求を書かないで、口頭で伝えるクライアントもいる。
それは後に「言った」「言わない」のトラブルの元になる。
クライアントは、ユーザーの希望とは別に、独自の見識で要求をいう。
「郵便番号の入力を必須にしてくれ。そうしないと、郵便番号が歯抜けになってしまうから」
SEはユーザー要求をまとめて、設計書を起こし、プログラマーに伝える。
プログラマーがプログラムを製作して、コンピューター・システムができあがる。
できあがったコンピューター・システムをユーザーが使う。
「これって郵便番号が書いていない注文書だと、入力が先に進まないじゃん」
「郵便番号を、自分で調べろってわけ?」
使ってみて初めてわかる問題点。
ユーザーはSEにクレームを付ける。
「仕様です」は、SEがユーザーの抗議を突っぱねる常套句。
今時のひとは「こちら、仕様になります・・」と慇懃に言うだろう。
ユーザーの要望通りにつくられたコンピューター・システムなのである。
「クライアントの佐藤さんが、あなた達にズルさせないよう、郵便番号を必須入力にしてくれと言ったのです」
とばらせばそれまでなのだが、問題の解決にはならない。
クライアントやユーザーは、このように作ると、使った時にどのようなことが起こる。という想像力が低い。要件が見切れていないのである。
非はユーザー側にある。
ユーザーは「コンピューターはなんでもできる」と思いこんでいる。
一を言えば、一〇のシステムができると思っている。そこで、
「残りの九が抜けていますけど、これは大丈夫ですか?」
と聞いてあげるのが、親切なSE。
社内のコンピューター・システム部門とユーザーの場合は、
「佐藤さんがそうおっしゃったのですが、もう一度、相談してみましょうか?」
という融通もきくが、社外であるベンダーの場合は、そうはいかない。
初めに予算が決まっているからだ。
「こちら、仕様になります・・」と言わない場合は、「作り直しですから、別途予算をいただきます」ということになる。
「仕様です!」と一刀両断すると喧嘩になる。
金を出しているのはこっちだ!と思っているクライアント。
言われたとおりに作っただけだ!と思っているSE。
SEの間では「仕様です!」はそういう状況を揶揄するジョークとして使われている。
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