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2008年11月 7日 (金)

燃費59キロ走るバイク

 初めてのバイクは、ホンダCB50S
 夏休みじゅう 昼は郵便配達、夜はビアホールでウェイター。
バイトで貯めたお金で中古を買った。

 

 予算は15万円なので、あちこちのバイク屋に電話した。
 7軒めにあった。
 「今日入ったばかりだけど、この年式では初めて入荷したんですよ」

 

 それは中古とは思えないほど、ぴかぴかのマシンだった。

 

 当時原付では唯一だった4サイクルエンジン。
 非力な50ccでは、通常はパンチ力のある2サイクルエンジンが使われるが「4サイクルのホンダ」は、50ccでも4サイクルにこだわっていた。

 

 燃費が抜群だった。
 最高時は 59km/l
 当時のガソリン代が160円前後だったので、1kmあたり 2.7円

 

 燃費がいいから非力かというと、加速もよかった。
 シグナルブルーと同時に出て、30km/h
 に到達する速さは、そこらじゅうのドンガメ普通車を置き去りにした。

 

 遠出は福岡-熊本往復、山口県一周
 関門トンネルの料金所では、係のおじちゃんに
 「あっち、あっち」
 と言って、人道を教えてもらった。
 原付は関門トンネル車道を走ることができなかった。
 125cc以下のバイクは高速道路に乗ることができない。
 遠出も二県どなりが精一杯だった。

 

 2台めのバイクは、ヤマハRZ350
 当時、青少年の間で垂涎の的だった「青い流れ星」だ。

 

 ひ弱さがぬぐえない 50ccから、野太い男のマシンへと憧れが募っていた。
 先輩がヤマハRD400に乗り、親友はヤマハRZ250を買った。
 いずれも2サイクル=2ストロークの「暴れ馬」と言われたマシンだ。

 

 「ツーストは燃費が悪いからねぇ。オイルも食うし」
 苦学生の僕は、すでに硬直化したサラリーマンのように、エコな4サイクルマシン、スズキGSX250E を買うつもりでいた。
 サイドカバーが2ストのスバル(洗濯板)を彷彿とさせるマシンだ。

 

 新車を買う予算はないので、RZの親友と「ヤマハオートセンター」に中古を見に行った。

 「今日入ったばかりだけど、この年式では初めて入荷したんですよ」
 どこかで聞いたような店長の言葉を聞いて、
 「これ包んでください」
 とは言わなかったが、すぐに手付けを千円入れた。
 親友が、当時は普及していなかった 「おいおい」というツッコミを入れてくれた。

 


 RZ350 【 あーるぜっとさんはん 】
 1981年3月発売 408,000円 45馬力
 先行して発売された「RZ250」の350cc版。
 数年後に発売された日本初フルカウリングマシン、スズキRGガンマ(2サイクル250cc)が46万円だったことを思えば、このバイクは安かった。

 ただし、251ccを超えると車検を受けなければならない。
 2年に一度の大きな出費は、苦学生には痛い。
 中型免許で乗れる最大排気量の「よんひゃく(400)」は、お金持ちのものだと思っていた。

 

 その排気量ゆえセールス的には難しいと思われたが、実際には爆発的人気となった。

 

 発売直後、池沢さとしの連載マンガ「街道レーサーGO!」の題材となり「青い流れ星」「ナナハンキラー」のニックネームがついた。
 だが実際には「おっ、青い流れ星!」と言う人はいなくて 「あーるぜっと」「さんぱん」と呼ばれた。

 

つづく

 

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