燃費59キロ走るバイク
初めてのバイクは、ホンダCB50S
夏休みじゅう 昼は郵便配達、夜はビアホールでウェイター。
バイトで貯めたお金で中古を買った。
予算は15万円なので、あちこちのバイク屋に電話した。
7軒めにあった。
「今日入ったばかりだけど、この年式では初めて入荷したんですよ」
それは中古とは思えないほど、ぴかぴかのマシンだった。
当時原付では唯一だった4サイクルエンジン。
非力な50ccでは、通常はパンチ力のある2サイクルエンジンが使われるが「4サイクルのホンダ」は、50ccでも4サイクルにこだわっていた。
燃費が抜群だった。
最高時は 59km/l
当時のガソリン代が160円前後だったので、1kmあたり 2.7円
燃費がいいから非力かというと、加速もよかった。
シグナルブルーと同時に出て、30km/h
に到達する速さは、そこらじゅうのドンガメ普通車を置き去りにした。
遠出は福岡-熊本往復、山口県一周
関門トンネルの料金所では、係のおじちゃんに
「あっち、あっち」
と言って、人道を教えてもらった。
原付は関門トンネル車道を走ることができなかった。
125cc以下のバイクは高速道路に乗ることができない。
遠出も二県どなりが精一杯だった。
2台めのバイクは、ヤマハRZ350
当時、青少年の間で垂涎の的だった「青い流れ星」だ。
ひ弱さがぬぐえない 50ccから、野太い男のマシンへと憧れが募っていた。
先輩がヤマハRD400に乗り、親友はヤマハRZ250を買った。
いずれも2サイクル=2ストロークの「暴れ馬」と言われたマシンだ。
「ツーストは燃費が悪いからねぇ。オイルも食うし」
苦学生の僕は、すでに硬直化したサラリーマンのように、エコな4サイクルマシン、スズキGSX250E を買うつもりでいた。
サイドカバーが2ストのスバル(洗濯板)を彷彿とさせるマシンだ。
新車を買う予算はないので、RZの親友と「ヤマハオートセンター」に中古を見に行った。
「今日入ったばかりだけど、この年式では初めて入荷したんですよ」
どこかで聞いたような店長の言葉を聞いて、
「これ包んでください」
とは言わなかったが、すぐに手付けを千円入れた。
親友が、当時は普及していなかった 「おいおい」というツッコミを入れてくれた。
RZ350 【 あーるぜっとさんはん 】
1981年3月発売 408,000円 45馬力
先行して発売された「RZ250」の350cc版。
数年後に発売された日本初フルカウリングマシン、スズキRGガンマ(2サイクル250cc)が46万円だったことを思えば、このバイクは安かった。
ただし、251ccを超えると車検を受けなければならない。
2年に一度の大きな出費は、苦学生には痛い。
中型免許で乗れる最大排気量の「よんひゃく(400)」は、お金持ちのものだと思っていた。
その排気量ゆえセールス的には難しいと思われたが、実際には爆発的人気となった。
発売直後、池沢さとしの連載マンガ「街道レーサーGO!」の題材となり「青い流れ星」「ナナハンキラー」のニックネームがついた。
だが実際には「おっ、青い流れ星!」と言う人はいなくて 「あーるぜっと」「さんぱん」と呼ばれた。
つづく
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