図鑑45ページ えび
シャコをゆでて食べるのが楽しみだった。
小学校に上がりたての頃、いつも図鑑の45ページを開いてよだれを垂らしていた。
そこは図鑑「海の生き物」えびのページ。
山口の盆地の町には、海がない(当たり前だ)
魚屋はスーパーマーケットの魚売り場だけ。
当時は、今ほど日本人はえび好きではなく、えびが陳列されることは珍しかった。
えびのページでは、1ページの海底の絵に20種類ほどのえびが描かれていた。
右下、えびの横綱格はイセエビ
いったいどんな味がするのだろう。
いつも食べているえびの味しか想像できなかった。
数年後、長崎県の上五島に移住した際、魚屋の生け簀にいた彼に初対面した。
生け簀は店外にあり、ふたもしてなかったので、傘でつついて動きを観察した。
じっとしていた彼は、外敵を察知したとたん、まるで2サイクル500ccマシンのように鋭く加速して位置を変えた。
オトナになって結婚式の引き出物で、その味にたどり付いた時には、もうえびアレルギーになっていた。
その上に大関格のクルマエビ
ある時、盆地の町のスーパーに彼がやってきた。
図鑑で見るとグレー地に黒の縞模様だったが、実物はカクテル光線を浴びて七色に光っていた。
つい手が出た。
すると彼はまだ生きていて、噛みついてきた。
実際にはとげに当たっただけなのだろうが、人差し指から血が出たのを見て、噛まれたと思った。
彼は僕を噛むと、驚いた魚のように(魚ですけど)跳躍して、ショウケースを飛び出し、海に飛び込んでしまった(タイヤキ君か)
ではなくて、ショウケースの下に潜り込んでしまった。
慌てて彼の姿を追った。
彼はショウケースの下でもがいていた。
店員さんに見付からぬうちに元に戻さなければ。
そう思ったが、手が届かない。
その日は晴れていて傘も持っていない。
そうこうしているうちにゴムの前掛けをした魚売り場のおいちゃんに気づかれた。
「困るねぇ、僕 さわったらいけんよ」
おいちゃんは彼をつかむと水道でひと洗いして、元の皿に戻した。
芝エビ、さくらえび、手長えび 時々食べているえびはどのえびだろうか。
かっぱえびせんのパッケージに描かれているのは、どれだろう。
目を皿のようにして、来る日も来る日も図鑑を眺めていた。
1999年には、ニフティサーブの掲示板に芝エビ問題が書き込まれた。
ネットオークションや、BBSが軌道に乗る前で、ニフティ会員のみのCUG。
それによると東京湾で芝エビの大漁が続いている。
同じ状況は1995年の阪神淡路大震災の前にも起きていたのだと筆者は言う。
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