「国会便覧」には自宅住所が載っている
2002年に現職の衆議院議員が殺されたことがある。
現場は自宅前だった。
2008年11月、厚労省の官僚が殺された。
現場は自宅。
容疑者は「便覧で住所を確認した」と供述した。
「国会便覧」は日本政経新聞社が発行している出版物。
最低年1回 出版されており、現在は平成二〇年二月新版が出ている。
市販されているので、書店で買うことができる。
amazonでも購入できる。
図書館にも置いてある。
2003年3月に初めて国会便覧をみた。
「国会便覧平成15年2月新版」だった。
そして、これはいいのか?と驚いた。
そこには、国会議員の氏名・経歴・自宅住所と電話番号、官僚の役職・氏名などが網羅されていた。
国会便覧に官僚の自宅住所は載っていないが、中央省庁が発行する便覧には載っていた。それで2008年11月の犯行は可能になった。
公人だから載せるということなのだろうが、
こんな危なっかしい公人ならば、なりたくない。
著名人本人、あるいはその家族が亡くなると、喪主の自宅住所番地が新聞に掲載される。
お悔やみに行く人への親切のつもりなのか。
その後も、そこに住み続けることを考えれば、これも怖い。
以前、作家岸本葉子のコミュニティを開設していた時のこと。
岸本葉子に関する mixiでは最初のコミュニティだった。
ある時、岸本葉子の父親が亡くなり、新聞に岸本家の住所が掲載された。
その情報をそのままコピー&ペーストでコミュニティに書き込んだ人がいた。
すると、他のメンバーの一人から
「あんなことを書くなんて信じられない。退会する」
とメッセージが来て、退会した。
それをうけて、書き込んだ人に、個人情報でもあるので、削除してもらえないか?と頼んでみた。
管理者には削除権限があるのだが、その前に本人に促したのだ。
すると、返事は
「新聞に書いてある公開情報を書いて何が悪いのか。言っている意味がわからない」
ということだった。
これらの行き違い、思いの違いにおいて、キーポイントは「メディア」
ここでは新聞社、版元の考え方である。
彼らが「知る権利」に沿って書いた情報で、人が死ぬ。怯えて暮らす。
でも、当時者以外の人は
「これは権利だ」
と考えている。
2002年に衆議院議員が亡くなった時、容疑者が「国会便覧をみた」かどうかはわからない。
ただ、国会便覧の編者は、その時、なにかを考え、あるいは何も考えず、結果として、何も変えていない。
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