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2008年12月 1日 (月)

「国会便覧」には自宅住所が載っている

 2002年に現職の衆議院議員が殺されたことがある。
 現場は自宅前だった。

 2008年11月、厚労省の官僚が殺された。
 現場は自宅。
 容疑者は「便覧で住所を確認した」と供述した。

 「国会便覧」は日本政経新聞社が発行している出版物。
 最低年1回 出版されており、現在は平成二〇年二月新版が出ている。
 市販されているので、書店で買うことができる。
 amazonでも購入できる。
 図書館にも置いてある。

 2003年3月に初めて国会便覧をみた。
 「国会便覧平成15年2月新版」だった。
 そして、これはいいのか?と驚いた。
 そこには、国会議員の氏名・経歴・自宅住所と電話番号、官僚の役職・氏名などが網羅されていた。
 国会便覧に官僚の自宅住所は載っていないが、中央省庁が発行する便覧には載っていた。それで2008年11月の犯行は可能になった。

 公人だから載せるということなのだろうが、
 こんな危なっかしい公人ならば、なりたくない。

 著名人本人、あるいはその家族が亡くなると、喪主の自宅住所番地が新聞に掲載される。
 お悔やみに行く人への親切のつもりなのか。
 その後も、そこに住み続けることを考えれば、これも怖い。

 以前、作家岸本葉子のコミュニティを開設していた時のこと。
 岸本葉子に関する mixiでは最初のコミュニティだった。
 ある時、岸本葉子の父親が亡くなり、新聞に岸本家の住所が掲載された。
 その情報をそのままコピー&ペーストでコミュニティに書き込んだ人がいた。

 すると、他のメンバーの一人から
 「あんなことを書くなんて信じられない。退会する」
 とメッセージが来て、退会した。
 それをうけて、書き込んだ人に、個人情報でもあるので、削除してもらえないか?と頼んでみた。
 管理者には削除権限があるのだが、その前に本人に促したのだ。
 すると、返事は
 「新聞に書いてある公開情報を書いて何が悪いのか。言っている意味がわからない」
 ということだった。

 これらの行き違い、思いの違いにおいて、キーポイントは「メディア」
ここでは新聞社、版元の考え方である。
 彼らが「知る権利」に沿って書いた情報で、人が死ぬ。怯えて暮らす。
 でも、当時者以外の人は
 「これは権利だ」
 と考えている。

 2002年に衆議院議員が亡くなった時、容疑者が「国会便覧をみた」かどうかはわからない。
 ただ、国会便覧の編者は、その時、なにかを考え、あるいは何も考えず、結果として、何も変えていない。

amazonで販売されている国会便覧 一覧

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