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2008年12月27日 (土)

即席のライダー救護班

 三瀬峠から福岡側に少し降りた時、路肩にバイクが横たわっていた。
 このコーナーは、思いのほか奥がきつい。
 バイクは土手につっこみ、ライダーはその脇で仰向けに倒れている。
 意識はある。

 「大丈夫ですか?」
 大丈夫なわけはないのだが、人は誰でも開口一番そう言ってしまう。
 バイクはガソリンが漏れ出すこともなく、ひとまず安全。
 ライダーの体に目をやる。
 ジーンズとジャケットの上からなので外傷はわからない。
 ただ、足がおかしな方向についていた。
 見たこともない方向に曲がった足をみて、思わず目を背けた。

 そこに後続のライダーが通りがかる。
 全員がバイクを止める。
 すぐに救護班は5人になった。

 当時、携帯電話はない。
 麓の喫茶店までいかないと電話がない。
 「じゃ、僕 電話してきます」
 連絡係を買って出た。

 「お願いします」
 それぞれが、後続のクルマに迂回を求める者。破片を拾う者。倒れたライダーに話しかける者。
 できることを始める。

 急ぎたい。
 何度もオーバースピードになる。
 だが、下りの三瀬は怖い。
 ここで僕がやってしまったら、彼の救助が遅れる。
 ログハウスのような喫茶店に入り、公衆電話から救急へ連絡。

 つづいて、ライダーに連絡先を聞いておいた自宅にも電話を入れる。
 「**さんが三瀬峠でバイクで転倒されて怪我をされました。
 意識はあります。しっかり話しておられますから大丈夫です」

 電話に出たのは初老の女性だった。
 お母さんだろう。
 「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ありがとうございます」
 とても冷静にお礼を言われた。
 「あの、お名前を教えていただけませんか?」

 ここで名前を言うことは、後日謝礼の対象になることは想像がついた。
 名字だけを言って切り上げようとしたが
 「どちらの?」
 と言われて、学校名を告げた。
 数千人の生徒がいる学校である。
 これならば、個人を特定するのは難しいだろう。

 やがて、救急車が到着し、ライダーを運んでいった。
 

 最年長らしきライダーが
 「皆さん、どこかでお茶でも飲みましょうか」
 と提案して、
僕らは賛同した。
 緊急事態に対応した仲間として、三瀬に集ったライダーとして、すぐに解散するのは名残惜しいということもあったのだが、僕らには興奮を冷まして、落ち着く時間が必要だった。

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