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2009年1月10日 (土)

個人情報に疎い警察官

 「じゃ、お願いします」
 警察官はタクシーの運転手ではなく、目撃者の僕のほうに説明を促す。
 え、僕ですか?運転手さんに先に聞いた方がいいんじゃないですか?
 事故当事者、それも怪我を負わせた方を目の前にして話すのは、気まずい。
 警察官はそんなことにはお構いなし。

 「いや、運転手さんからは後で聞きますから。
 まずあなたの住所、名前、電話 ・・・ 」
 個人情報を次々と尋ねて、警察官はそれを白い紙に大きな字で書いていく。
 一部始終をタクシーの運転手が、紙をのぞき込んで聞いている。

 名前、自宅の住所番地、携帯の番号まで知られてしまった。
 これで、タクシー運転手の不興を買おうものなら、面倒なことにならないか。
 不安がよぎる。

 運転者側からみて信号は青
 タクシーの運転手さんが一番右車線から、真ん中の車線へ頭を振りました。
 でも、タクシーはそこで静止していました。
 そこへ、後ろから直進してきたバイクが当たりました。

 10分前のできごとだ。
 まだ、鮮明に覚えている。自信をもって言い切った。
 するとその時だ。
 それまで黙って聞いていた運転手が言い放った。

 「そのとおり」

 そのとおり?
 なにがその通りなんだ。
 それはまるで、他人事のトーン。

 かつて、タクシー相手の事故経験がある。
 CB50Sに乗って渋滞している左脇をすり抜けていた時。
 突然、タクシーのドアが開いて、はじき飛ばされた。
 運転手はこちらに気づいて、自動ドアを止めたのだが、降車しようとした客がドアをどーんと突いたのだ。
 運転手はこう言った。
 「あともう少しで個人タクシーがとれるんだ。事故をやるとそれがダメになる。きちんとするから、警察は呼ばないでほしい」

 今日ここにいる運転手も、明日からの生活で頭がいっぱいなのだろう。
 評論家のように、状況を冷静に分析しているのも仕方がないことか。

 バイクの運転手は救急車で運ばれていき、見守った人たちも三々五々に散っていった。
 「なにかまた聞くことがあったら、電話するかも知れません」
 警察官は礼ひとつ言わず、つづいて運転手からの事情聴取に移っていた。

 ずっとあの一言が気になっていた。
 「そのとおり」
 もしかして、自分は無意識のうちに、目の前にいる当事者寄りの話を作ったのではないか。
 いつも、その後に説明するために、目の前の出来事を分析しているわけではない。
 時間が経つにつれて、本当にその記憶は正しかったのか、自信が持てなくなっていった。
 その後、警察からもどこからも連絡はない。

 非がどれだけ、どちらにあるかは別にして、
 四輪車>二輪車>自転車>歩行者
 という交通強弱者の順により、その責任は配分されていく。

 この日を境に、雨の夜に車を出すのはやめることにした。



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