ニフティサーブのホームパーティ
1994年冬
インターネットは産声を上げていたが、まだ誰もがその実態を把握していなかった。
「インターネット」「www」「モザイク」
今ならあなたは、この3つの単語の関連性を、理路整然と話せるだろう。
え、話せない?
それでは 解説すると
「インターネットの情報を表示している技術が www。インターネット=www といってよい。モザイクは1993年当時のブラウザー」
当時、これらの単語は、その意味さえよくわからず、ましてや、どう関連づいているかなど、皆目検討がつかなかった。
とにかく、パソコン通信仲間で語られていたのは
「インターネットは、スゴイらしい」
ということ。
もちろんそれは、パソコン通信と比べて・・という意味である。
それはかつて、マルチプランが主流だった1990年頃、天然記念物レベルに希少だった、表計算の使い手の間で
「ロータスは、すごいらしい」
という会話が交わされていた状況に似ていた。
1994年暮れ、パソコン通信NIFTY-Serveに、元春HPはあった。
ニフティにはフォーラムという会議室があった。
これは、ニフティが有志の会員に管理を委託する許認可制になっており、一部の既得権益者が牛耳る不自由なものだった。
一方「HP=ホームパーティ」というサービスは、毎月2,000円を払えば、誰でもCUGを持つことができた。
Crosed User Group =直訳すると、閉じられたユーザー・グループ
インターネットなどのコンピューター・ネットワークで、参加が許可されている人だけが利用できるサービス。
「フォーラム」は、ニフティの審査を受けなければ作ることができないが、ホームパーティは、私信扱い(メールと同じ扱い)で、誰でも審査無しで開設することができた。
ホームパーティは、1997年11月にサービス終了となり、パティオ(月額500円)に移行。
そのパティオも2005年5月末日でサービスが終了した。
ホームパーティという名称は、今思えば、牧歌的で素敵だ。ただ、その名前ゆえ内容が伝わらないこともあった。
ある時、熊本に住む元春ファンに、元春ホームパーティに入りませんか?というメールを送ったことがある。すると、その返事には「家が遠いので、なかなか参加できないと思いますので、今回は失礼します」と書いてあった。
今も主宰者のカサノバ氏(通称:店長)が、1992年9月にスタートさせたのが、元春HP。
「身近に元春のことを話せる友達がいない」
という共通の飢餓感にぴたりとはまり、全国の元春ファンがここに集った。
東京、名古屋、大阪という拠点ごとに、定期的なオフライン・ミーティングが行われ、実際に会うことで、さらに関係は緊密なものになっていく。
・・・と、ここまでならば、他にも例がある話。
このグループが、日本で唯一違っていたのは、勇気をもって一歩を踏み出したことだ。
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