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2009年1月17日 (土)

消費税率アップの条文に反対する人たち

「政府の無駄な支出や社会保障費の膨張に歯止めがきかなくなる恐れがある。」

 これは誰がみても警鐘である。
 ではいったい、誰に対して鳴らしている警鐘なのか?
 それは、2009年に行われる衆議院選挙の有権者である。

 前回の衆議院選挙は2005年9月11日。
 衆議院の任期は4年。
 遅くとも9月までには衆議院選挙が行われる。

 「歯止めがきかなくなる恐れがある」というのは、借金を返そうというモラルが放棄されることを意味している。
 人の場合、借金を返さないと、その行く末は 自己破産である。
 国の場合、その行く末は 国家破産である。

 「国家破産」という言葉は書籍・雑誌ではよく使われているが明確な定義はない。
 一つ言えることは  「国家」という人格はいないので 「破産」で苦しむのは、そこに住む国民であるということだ。

 大半の国民が困窮するのである。
 例を挙げれば、"国家が破産" すると、極度のインフレが起こる。
 インフレになると物価が上がる。一方では失業が増える。

 カップ麺1個千円で1日1食という暮らしが、フリーターではなく、一般サラリーマンの生活になる。

 政府は 2009年1月に始まった通常国会に「2009年度税制改正法案」を提出する。
 この法案には2011年からの「消費税率アップの条文」を明記する。

 民主党は 「消費税率アップの条文」を削除した法案を準備している。
 つまり、民主党は 2011年からの消費税率アップに党として反対する。

 自民党の内部にも 「消費税率アップの条文」削除を求める議員がいる。
 いわゆる党内の「造反組」である。
 麻生総理は 「消費税率アップの条文」は閣議決定事項であり、造反はあり得ないとコメントしている。

 借金は返したほうがよいのか?
 まだ、返さなくてもよいのか?
 という話である。

 日本の企業と個人の体力に鑑みて
 今ある 800兆円の借金は 減らしたほうがよいのか?
 それとも、もっともっと増やしても大丈夫なのか?

 それは前者に決まっている。
 "決まっている" と言い切る根拠は、現在の不況にある。
 米国発金融不安で、日本が不況に陥っている。

 日本は普通の体力なのである。
 圧倒的な体力はない。
 日本の企業と個人に 800兆を超える借金をものともしない体力があるならば、世界同時金融不況などどこ吹く風、日本だけは好況に沸いているはず。
 圧倒的な体力があるならば、現在は年間50兆円に届かない税収も、100兆、200兆という金額になっているはずだ。

 日本はそろそろ借金を返さなければならない。

 消費税を上げなければ、プライマリーバランス(=単年度収支)の黒字化は見えてこない。
 ということは、いつまでも借金返済が始まらないということ。
 "赤字増やし放題国家" 状態が続くと言うことだ。

 こうした「消費税率アップはやむなし」という論調をとると、
 「これだから素人は困るよ。
 財政再建の道は消費税率アップだけじゃないんだから・・」
 といって、煙に巻こうとする自称玄人が現れる。

つづく



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