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2009年1月 2日 (金)

ラーメンの替え玉とユースの連泊

「今日は諏訪湖で泊まっていけ」とおいちゃんが言う。
「おい、宿を聞いてやれよ」という指示を受けて、スタンドの兄ちゃんが諏訪湖のユースホステルに連絡をとる。
もう19時を回っていたが、空きがあった。
今すぐくれば夕飯も残しておくから。
そう聞くと急に腹が減った。

RZ350でユースに泊まるのはこれが三度め。
初回は九州一周ツーリングの高千穂。
延岡から電話して、夕飯に滑り込んだ。
ライダーの到着を先客が全員縁側に出て、出迎えてくれた。
オーナーらしき人が声をかけてきた。
「うなぎ、食べれますか?」
その質問の意図がわからず、とまどった。
てっきり貧乏学生だから、うなぎの料金が払えるか?という質問だと思った。
「いくらですか?」
と聞きたかったが、大勢が見ている前で恥ずかしくて言えなかった。
ずいぶん後にユースホステルガイドを見てわかったのだが、うなぎは高千穂YHの名物だったのだ。

うなぎが苦手で食べられない人がいることには、考えが及ばなかった。
「うなぎはヘビみたいでダメ~」
という人が世の中にいることを、この時はまだ知らなかった。

2回めのユース泊はその翌日、別府。
やまなみハイウェイで出会った2人連れのライダーと意気投合して、同宿を取ることにした。
あいにくの雨に濡れる草千里。
少し早めに走りをきりあげ、16時にはユース入り。
一番乗りした三人のライダーを待っていたのは、風呂掃除だった。
皿洗いや風呂掃除、できることを手分けしてする。
そうして低料金が保たれている。
だからあてのない旅先で、その日の宿に困った時、懐を痛めずに食事と寝床を確保できる。
このような仕組みは経験してみなければわからない。
「可愛い子には旅をさせよ」
という言葉の意味がわかった気がした。

風呂掃除の担い手特権の一番風呂をいただき、夕飯になる頃には、満床になるほどの大勢の客がやってきた。
神戸から来たバイク屋に勤めるライダー
サラリーマン
グループで旅をする女子学生たち

夕飯後の皿洗いが終わると、ミーティングはお遊戯。
なんでこんなことをせにゃならんのか?
と一人の時には思うのだが、人はその環境に身を置くと「いい人モード」にチェンジできる。
20代の15人ほどの男女が、旅の恥はかきすてとばかりにお遊戯に興じる。
恥ずかしさを共有した男女は、見る見るうちに意気投合していった。
部屋に戻ってからも、ライダー同士で遅くまでバイクの話が続く。
ただ、僕には専門的な技術用語はなにもわからなかった。
**のチャンバーは音がどうだとか、キャブのオーバーフローがどうしたという話になると、一人取り残された気がした。

朝起きると、しとしと降った前夜の雨が嘘のように、別府の空は快晴。
やまなみから同行してきたライダーやバイク屋の兄ちゃん、女子学生らは昨晩のうちに連泊を決めていた。
マイクロバスを借りて、一日別府巡りをするという。

「連泊」という言葉を知らなかった。
それは言わば、初めて入った博多ラーメン屋で「替え玉」を知らないようなものだ。
替え玉ならば、たかが知れている。
100円程度の予算。ラーメン玉1個の分量。
替え玉の存在を初めて知った直後でも 「じゃ僕もそれ」と順応することができる。

だが、連泊はそうはいかない。
1日という時間、これは学生だからなんとでもなる。
つづいて予算。1泊費用+1日の行動費。そこが厳しい。
九州一周をぎりぎりの予算でやってきた最終日だっただけに、おいそれと「じゃ僕もそれ」とは言えなかった。

RZ350で宿を発とうとする僕を真ん中に据えて、皆が記念写真を撮ってくれた。
今その写真を見ると、当時流行っていた聖子ちゃんカットの女の子が目立つ。そのまっただ中で、ただ一人垢抜けない自分がおかしい。

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