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2009年1月 3日 (土)

2サイクルのバイクでツーリングして何が悪い

 それにしても小黒川PAから諏訪湖SAまでは命からがらだった。
 寒さに意識が薄れてくる。
 何度も右車線のラインに寄ってしまい、その度に後続車からパッシングを受けた。
 「もうちょっと火に当たっていけ」
 トラックのおいちゃんに言われるまま、ストーブの前で固まっていると、ようやく体が生き返った。

 大阪からの高速代6,700円を支払い、諏訪湖ICで降りる。
 20号線を上り、下諏訪町のユースホステルを目指す。
 19:40 ユースホステル到着

 残してあった夕飯をいただき皿を洗うと、お約束のミーティング。
 何度やっても慣れない。苦手だ。
 だけど「平気だ」という顔をする。
 ノリを求められれば、ノリ返す。
 旅の恥はかきすて。
 子どもの頃、母は僕にいいコトバを教えてくれた。

 この日、他にライダー客はいない。
 ミーティングが終わると話し相手もなく、早々に床に入る。
 布団が暖かい。つい数時間前、雪の中、高速道路を走っていたのがウソのよう。まさに地獄から天国。
 生きててよかった。そう思うが早いか、転がるように眠りにおちた。

 翌日は一転して快晴。
 窓の外に広がる景色を見下ろすと、日光を受けて銀色に光る巨大な円盤が横たわっている。
 それが、前日の寒波で凍った諏訪湖だとわかるまでに 5秒かかった。

 9:10 オーナーに見送られて、お世話になったユースを後にする。
 高速に乗れば、東京までの残す距離は200km。
 前日、神戸から一気に600km走ろうとしたのに比べれば、一日の行程には短すぎる。
 東京には夕方までに着けばよい。
 中央自動車道には乗らず、下道を行くことにした。
 およそ215km 5時間半の道のり。
 昨日の吹雪が嘘のような青い空、暖かい風、空いた道。

 30kmほど走ると山梨県に入った。
 ノンストップで100km走り、大月の手前で1度めの休憩。
 12:45 神奈川
 13:10 東京都にはいった。

 諏訪湖から東京までの道では、一枚も写真を撮らなかった。
 快晴のもと、山林を縫うように空いた道を走るRZ350。
 それを空から見下ろした映像だけが記憶にある。

 一枚の写真から呼び戻される記憶の容量は膨大なハードディスク。
 一枚の写真もないのは、今思えば寂しい。
 たくさんの写真は要らない。
 ただ一枚、ここぞというところで撮っておけばよかった。

 福岡→東京 走行距離 1,270km
 バイク、クルマを通じて生涯で最も長いツーリングだった。

 2サイクルのバイクでツーリングというと、すぐ燃費がどうだとか、2サイクルは走る=エンジンを回さなければだめだとステレオタイプに言う人がいる。
 燃費は懐具合との相談であり、他人にとやかく言われるものではない。
 ツーリングだからレッドゾーン近くまで回さないわけではない。2サイクルは四六時中、回して走らなければならないかのように言うのは、至極ナンセンス。

 RZ350のような2サイクルのスポーツバイクでツーリングをすることが楽しい。
 前傾姿勢で腕が疲れるとか、腰が痛くなるというのは、相対的な比較をした場合の話。
 バイクは人の体で走っている。
 どんな姿勢で乗っても、長く走れば疲れる。

 このバイクが好きで、このバイクだから走りたい。
 ツーリングのためにバイクを選ぶのではない。
 バイクで走る舞台としてツーリングに出かけるのだ。

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