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2009年3月30日 (月)

松村を追い抜く

東京マラソンを走りながら書いた 【 5 】

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7kmを過ぎると、竹橋、気象庁と皇居ランナーにはおなじみの場所。
大手門から祝田橋までの皇居大手門前には、再びたくさんの応援が出ている。

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東京五輪招致委員会、スポンサーなどがスティックバルーンを配ったようで、至る所でその空気が炸裂するような音に迎えられる。
2008年3月に日本陸連が、新聞社による小旗配布を禁止。
理由は、選手が危険だから。
その翌月の長野マラソンから、小旗は姿を消した。

しかし、2009年1月に箱根駅伝を蒲田駅に応援に行った時は、讀賣新聞が小旗を配っていた。
この日も、新聞社ではなかったようだが、ちらほらと小旗も見えていた。

9kmを過ぎ、祝田橋を90度左折。
そこで、観客から「まつむら~」の声がかかる。
すぐ前方に松村がいた。
その右手にはハンディカムを持ち、ナンバーカードをつけたランナーが、松村を撮りながら走っている。
翌朝のスポーツ紙によると、東京MXテレビのクルーだった。
さすがに松村よりは僕のほうが速く、その左手を追い抜いていく。
すると左斜め前を走っていたランナーが突然立ち止まったかと思うと、僕の目の前を横切った。
「あっ、すみません」
謝った男性もMXテレビのクルー。
フジテレビのガードランナーは「Official TV」と書いたピンクのビブスをつけていたが、MXテレビのクルーはナンバーカードをつけていた。

よりよい絵を撮ることが仕事なので、マラソンが前を向いて走る人たちの競技だということは、辞書にないのだろう。

「今日は去年よりペース、速いですね」
松村がカメラに向かって話しながら、走っている。
テレビ番組「走る男2」の森脇健児は、根っからのアスリートゆえに、スタッフが舌を巻くほど、喋りながら走る。
テレビカメラと共に走る男は、喋る宿命を背負わされて大変だなぁと思っていた。
僕はこれまで、レースを走りながら、ランナーと喋ったことは一度もない。ど素人ランナーには、そんな余裕はないのである。

前方をみやると、人の流れが変だ。
右に走っている人と、左に走っている人がいる。
こんな入り組んだコースではないはずなのに。急遽コースが変わったのか?
しばらく走ると、それが品川を折り返してきた対向車線のランナーだとわかった。

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10km通過タイムは1時間36分。
予定していたタイムと±0分。
ぴたりと予定通りだが、もうとっくに先頭集団は銀座の彼方へと消えていた。
10kmレースは右車線へ分岐して、日比谷公園でゴール。
ここで、ぐっと人が少なくなると聞いていたが、実際には、そうでもない。

10kmから品川の折り返しまでは、天気予報どおりの向かい風。
心が弱くなるほどの風ではないが、予定ペースの 7:30 が守れない。

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11.7km御成門の交差点を通過すると、右手に東京タワーが現れた。
ボランティアや知人に頼んで記念撮影するランナーが多い。
ただ、その気持ちはわからない。
プロカメラマンが、東京タワーを背景に捕らえた構図で、疾走する絵を押さえてくれたら、2100円を出してでも買う。
だが、立ち止まり、ピースでにっこりという写真ならば、いつでも撮れる。

14km
一人のランナーが路上で倒れ、たくさんの人が取り囲んでいる。AEDの警告メッセージが聞こえていた。
戻ってこいよ。
無事を祈り、目を背けて走り過ぎる。
この後、さきほど抜いてきたランナーが、同じくここでAED施術を受けたことは、夕方のニュースで知った。
この日、コース上でAED施術を受けたのは二人だった。

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