スコラーリ 最後のダンス
デコにとって、辛い1月がやってきた。
もしかすると、デコにとって2009年は年運が悪いのかも知れない。
1月11日
プレミアリーグ21節 マンチェスター・ユナイテッド(away) ●0-3
今年の初戦はホームで引き分け。第2戦は惨敗となった。
デコは前半で交代した。
調子が上がらないチームのあおりを受け、開幕当初は神様のようにあがめられたデコに対して、ファンの心ない声が上がり始める。
「デコはスコラーリのペットだ」
デコがフル出場を続けていることに対する雑言である。
デコはこれに対して、毅然と言う。
「自分が起用されるのは、数多くのタイトルを獲得してきた実績があるからだ」
言われてみれば、その通りだが、臆面もなく、率直な言葉を選ぶところがデコらしい。
何かとねたみや恨みの多い、現代社会において、デコのように生きられたら、どんなにいいだろう。
1月15日
FAカップ3回戦再試合 サウスエンド(away) ○4-1
FAカップは再試合となった場合、前回とは逆のホームで開催される。
わずか中1日でプレミアリーグを控えているため、デコとドログバは招集されなかった。
3部のチームに対して、スタメンは ほぼベストメンバー。
いかに、FAカップを重要視しているかがうかがえる。
先制はサウスエンド。
ここ数試合の課題となっているCKからの失点。
その後、チェルシーが一方的に攻め続け、前半ロスタイムにバラックのゴールで追いつく。
白い息を吐くバラック。
8か月前のユーロでは、顔も見たくないと思った彼の気合いが、今は頼もしい。
解説者はこの日のスタメンは、デコとドログバが評価されていない現れだと言い放つ。
独自の取材に裏打ちされてでもいるのか、自信満々だ。
それが真実か、それともデコ温存か、二日後のスタメンが楽しみだ。
1月17日
プレミアリーグ22節 ストーク・シティ (home)○2-1
FAカップから中一日の試合。
awayで戦ったストーク・シティとの初戦は2-0で勝っている。
だからと言ってホームでは楽勝・・ といかないのがサッカー。
去年応援していたバルセロナもそうだった。
格下のチームでも、自らのホームでは、がちがちに引いて守ることはできない。
もしそれをやれば、地元ファンの前で、僕たち弱いんで、仕方ないですぅ~と言っているようなもの。
プライドにかけても、前に出て攻める。
しかし、そこに、ほころびができ、チェルシーは得点が容易になる。
チェルシーがシーズン当初、away戦の連勝を重ねた理由はそれだ。
一方、格下のチームを、ホームに迎えた場合は、様相が変わる。
相手はびびって、徹底的に引いて守る。
カウンターに専念し、数少ないチャンスを待つ。
デコが嫌いな「リアクション・サッカー」だ。
デコはバルセロナ在席時、
「バルサのプレースタイルは、モウリーニョのスタイルと似ているのでは?」
と言われ「僕らはあんなリアクション・サッカーをした覚えはない」と言いはなった。
この試合、デコとドログバはベンチにも入っていない。
まさかデコは干されたのか・・
ベストの選択と思われたチェルシー入り。
8月は月間MVPも取りいち早くチームになじんだ。
それが、こんなにも暗転するものか。
このままシーズンを棒に振るのか。
愕然として試合にはいっていくと、アナウンサーが「デコは足の負傷があるようです」と紹介。
ほっと胸をなで下ろす。
引いて守るチームを相手にすれば、どんなチームでも、1点めをとることは難しい。
そして、後半早々、リアクション・カウンターから失点。
試合はそのまま、 0-1 で終わりそうになっていた。
「あぁ、もう帰り始めましたよ」
帰宅し始めたチェルシーサポーターをカメラが何度か捕らえた後の87分。
ベレッチがヘッドで同点ゴール。
これでも十分と思ったが、ロスタイムには、ランパードがゴール前のこぼれ球を逆転ゴール。
狂喜乱舞するスコラーリとランパードが抱き合う。
これが、スコラーリ最後のダンスとなった。
次週 3/22 はお休み。 次回掲載は 3/29
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