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2009年4月 6日 (月)

空腹で失速した理由

東京マラソンを走りながら書いた 【 10 】

 

レース直後、給水は不可欠だが、すぐ何かを食べなければ、体が壊れるというわけではない。
食べ物はゴール後ではなく、走っている最中にこそ欲しい。

 

さらに言うならば、ゴール後に配った3万本を差し引いても、バナナはまだ3万本ある。
3万人に対して1カ所で配ったのならば、1人あたり1本は行き渡る計算になる。
それが、なぜ バナナは 5cm だったのか?
推察するに、バナナを2カ所で配ったのではないか。



2カ所に置けば、速いランナーが2カ所で取った場合、遅いランナーには行き渡らない。
第一回大会では、人形焼きを2カ所で配り、一部の速いランナーにしか行き渡らなかったことがあった。
今回、給食エイドは4カ所と周知されていたが、そのうち一カ所には何もなく、空っぽになったバットだけが積まれていた。

 

だが、空腹で失速したのは、大会主催者のせいではない。
自分のせいだ。
その伏線は、6週間前に変えたレーシングシューズにあった。

 

新しいマラソンシューズ

 

今回新調した靴「ソーティスーパーマジック」は、大手スポーツチェーンで買った。店頭のPOPに、この靴は「サブ3向け」と書いてあった。
靴を買いに行った日のことだ。
スーパーフィートをカットする作業の間に、レースに持参するサプリを調達した。
過去3年、毎回持参しているのは「ベスパプロ」と「パワーバー(Gel)」を3つ。
レース直前に「ベスパ」を摂り、脂肪優先使用を体に指令する。
レースが始まってからは、3度に分けて「パワーバー」を摂る。
これまで、レース中に空腹を感じたことはなく、今回も前例を踏襲するつもりでいた。
するとパワーバーの味を選んでいた時、別の店員さんが声をかけてきた。

 

「こういうのも出てますよ」
彼が指し示したのは「VESPA HYPER」

 

ベスパはレースで、脂質を先に使い、糖質を後半に温存するためのサプリメント。
練習では、脂肪を優先的に使っても、練習後の食事で脂肪から充填されてしまう。
「VAAM」や「ベスパ」を常用しても、ダイエット効果はない。
あるのは、体が目を覚ますのが速いと言う効果程度だ。

 

だが、限られた時間内で最大限のエネルギー源を確保したいマラソンでは、グリコーゲンをセーブして、脂肪を先に使うベスパが有効だ。

 

■レース前30分に飲む。
■レース途中に飲んでも、かまわない。
■VESPA はドーピングには当たらない。

 

VESPA HYPERは、VESPA Proの水分を減らして小型化した。
この小ささは、ポーチにいろいろな物を入れて走る、素人ランナーには魅力だ。
成分は、プロポリスを使うVESPA Proと同じ。
VESPA Proにはついている、りんご味がついていない。
VESPA Proは、80mlで735円なのに対して、VESPA HYPERは9gで630円。

 

「パワージェルじゃなくて、これを3つ入れて行くという手もありますよ」
彼は言う。

 

そうか、その手があるのか。
もうこの時点ですっかり ベスパ・マジックにはまっていた。
そして、レース当日、空腹で失速するまで6週間、その論理の破綻に気づかなかった。

 

VESPAは、元々体内にある脂肪を利用するための飲料であり、新たな栄養を供給しない。
マラソンを5時間以上かけて走る素人ランナーは、栄養を外部から摂り、空腹を補う必要がある。
この理屈は後で考えてみれば、簡単なことだが・・

 

東京マラソンを一回、棒に振ったが、お陰で貴重な経験をした。

 

27km
腹で息をして、失速の理由がわかると、気持ちが切り替わる。

 

道が細くなり、前方に雷門が見えた。
ほとんどのランナーが、立ち止まり、カメラを出している。

 

Dsc06097 

 

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