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2009年4月10日 (金)

銀座での復活

東京マラソンを走りながら書いた 【 13 】

32km
日本橋を過ぎて、再び銀座の中央通りに戻る。
時刻はまだ 13:40
いつもの日曜日ならば、まだまだこれからという時間帯だが、雲は厚さを増し、二度めの銀座は、夕闇の街に変わっていた。
ここまで来れば、ゴールまでの道のりは頭にある。
銀座和光から築地までの道は、庭のようなものだ。

マラソンも終盤にはいると、応援の趣向が変わってくる。
そのメッセージに、より具体性が増してくる。
私設エイドも増えるのだが、プラカードも増える。

「楽しんで!」
楽しんでと言われて、あ、そうだったと思い出す。
レース前は、かなり楽しめると自信があったのだ。
だが、楽しむというのは、楽しむ力があってこそ。
たとえ東京だろうが、下関海響だろうが、力がないマラソンは苦しい。
今日の僕には、まだ楽しむだけの力がなかった。

「明日は仕事だ」
マラソンは日曜日なので、当然、翌日は月曜日。
お休みを取っていない人は、いつものように早起きをして、筋肉痛の足をひきずり、仕事へと向かう。
それにしても、きつい一言だ。

「ナイスラン」
いや、すみません。こんなへぼな走りして・・

こうして、プラカードにつっこみ、一頻り考える。
世の中にはプラカードを作ったことがある人と、そうでない人がいる。
一見簡単なことのようだが、段ボールを切って、マジックで書くだけでも、それ相応の手間暇がかかる。
それをカバンに入れて、電車に乗ってくるのだ。荷物はかなりかさばる。
普通の人ならば、思い立っても、やっぱりやめておく。
それを、突き抜けて、こうして掲げられたプラカード。
一つ一つ大切に、すべてを読み、評論しながら走った。

ハイタッチは続けている。
すると、ハイタッチ待ちで並んでいる手の中に、チョコレートや飴が握られている。
素手 素手 素手 チョコ 素手 飴・・
これは、新しいスタイルだ。
ちょっと面食らった。
ハイタッチをしていると、突然チョコが出てくる。そのままハイタッチしようとすると、チョコを払い落としてしまいそうで、思わず手を引っ込める。

「もらってくれない・・」
と嘆いている女性の声が聞こえた。
まぁ、まぁと友達が慰めている。

34km
銀座四丁目を左折
時刻は14時。
この時、突如、体に力が戻ったのがわかった。
チョコレートと飴が効いたのだ。
脳が防衛機制を解き、体にエネルギーの使用許可を出した。

歌舞伎座の前は、黒山の人だかり。
その中に、歌舞伎のコスプレで応援しているそ~さんがいる。
大見得を切って、おまかせあれ~っとでも言っているかと思ったら、あの格好でふつーに立っているのが可笑しい。
挨拶をして、再び走り始めた。

次回は4月11日



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