足がほんとに痛いと思うけど、がんばれ!
東京マラソンを走りながら書いた 【 16 】
あと2kmの看板の脇を通過。
ボランティア・スタッフから声がかかる。
「がんばれ! あと3km!」
おいおい、違うだろ
名探偵コナンの声で、つっこんでしまった。
残り2kmといえば、いつものマラソンならば、嬉しい知らせ。
だが、中盤に寝ていたような今日のマラソンでは、複雑な気分に包まれる。
実際に、雷門から銀座へ戻る際、日本橋交差点の左折では 「ここで、寝よう」と思った。
これだけ意識が低下していても、走れるのだから、目をつぶっても走れると思えたのだ。
この試みが成功すれば 「睡眠完走法」として、マラソン学会に発表できる・・
目を閉じようとして、すんでの所で思いとどまった。
直前に、私設エイドで、チョコをもらっていたおかげだ。
あそこで、目を閉じていたら、突然ばったりと倒れ込んで、周りの人をびっくりさせただろう。
「大丈夫か?」
駆け寄るボランティア。
いやいや、すみません。大丈夫です、ちょっと寝ながら走ろうと思って・・・
きっと、走り疲れて、おかしくなったと思われただろう。
去年、かすみがうらを走った時のような、ゴールの遠さを感じない。
かすみがうらは最後の最後まで、どこがゴールなのか、わからなかった。
後でコース図を見ると、ゴールまで700mの地点が、残り3kmぐらいに感じていた。
かつて、福岡国際を平和台で見て、競技場でのゴールに憧れていた。
かすみがうらのゴールは、その競技場なのだが、作りが小さくて、直前まで気づかない。
いつかは、巨大な競技場のゲートをくぐって、トラックに飛び込みたい。
ガイドブックには「40kmを過ぎると、もうアップダウンもない。ゴールを目指すだけ」と書いてあった。
よし、これで終わった。あとは、ゴールするだけだ・・
大嘘だった。
首都高速湾岸線を立体交差するため、りんかい線「国際展示場」駅のところでもう一度登り坂。
それで本当に坂は終わり。あとはフラットな道。
ここにきて、雨脚が強くなり、前が見づらい。
この雨の中、傘も差さず応援してくれる沿道の皆さんがいる。
こんなに雨が降っているのに、なぜ?
応援は、叫びに変わっている。
「完走できるぞ!」
あの、制限時間まで、あと1時間あるんですけど・・
きっと、マラソンを走ったことはない方なのだろう。
「足がほんとに痛いと思うけど、がんばれ!」
彼もランナーで、マラソン終盤の激痛を乗り越えたのか。
終盤のこの位置に陣取って、その具体的な応援。
可笑しくなって、気持ちが軽くなった。
皆、気持ちが一つなのだ。
応援の皆さんも、僕らと一緒に走っているんだ。
できるだけ、ゆりかもめの高架下を走り、雨をしのぐ。
ゆりかもめと別れを告げ、東京ビッグサイト前を左折。
そこにも、土砂降りのなか、沿道はすずなりの人。
ずっとコースの左端を走ってきた。
ここは、左端には人がいない。
隊列からぽつんと一人離れて、残りわずかとなったコース上にいる。
少しでもタイムを詰めようと、そこそこにペースを上げる。
ゴール間際のラストスパートが、突然死につながることは、何度も本で読み、いくつかの大会では主催者から注意が喚起されていた。
全力疾走したところで、得られる目標は、もう残っていない。
東京ビッグサイト東の交差点を右折すると、そこはゴール・ロード
テレビ局だろうか。誰かにインタビューしている音声が聞こえる。
まだ3時過ぎというのに、夕闇迫るスタンド前を駆け抜ける。
過去2回は、テレビで見ていたゴールの映像。
カメラはいつもゴール側からの絵をとらえている。
逆から見る映像に、特に感慨はなかった。
次回は4月16日
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