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2009年4月16日 (木)

メダルとタオルとバナナ

東京マラソンを走りながら書いた 【 17 】

 

あぁあ、終わっちゃったよ

 

呆気ない終わり。
余力を残した低調なレースにため息が出た。
ランナーの職業病、ラップの時計を止めるのも忘れた。

 

しばらく歩いてから時計を止める。
走行距離 43.62km

 

Dsc06100
スタートラインまでの465mを差し引いても、960m余分に走っている。
一番の要因は、常にハイタッチをするために、左端を走り交差点を大回りしていたこと。次に前のランナー・・ではなく、ウォーカーを抜くのに、蛇行して走ったことがあげられる。

 

ゴール後は、ランナーがベルトコンベアーに乗っているような流れ作業。
手順が洗練されている。

 

まず、チップを靴から外してくれる。
東京マラソンでは結束タグでチップを靴紐に結わえる。
この方法は初めて見た。
これまでに出たマラソン大会では、靴紐を一旦アイレットから外してチップを通すため、外す時も靴紐をかなり解かなければならない。
今後は、この結束タグ方式が他の大会でも標準となっていくだろう。

 

外したチップを手渡されて、それと引き替えに完走メダルがもらえる。
ボランティアが一人一人のランナーの首にかけてくれる。
メダルをかけてもらうなんて、生涯で初めての経験だ。

 

おめでとうございます
ありがとう

 

土砂降りの雨のなか、そこかしこで、同じ会話が繰り返される。

 

続いて、特大のスポーツタオル。
これが、今大会もらった物の中では一番嬉しかった。
ランナーは我先にと受け取り、びしょ濡れになった髪を拭いている。
東京マラソンを開催にこぎつけるまでの実質的な責任者、遠藤雅彦は著書「東京マラソン」で、第1回では、タオルはコストが高くつくため、配れなかったと書いていた。
それだけに、タオルがもらえるなんて、思っても見なかった。
その代わり、第1回では、女性限定で配っていた花束は見かけなかった。第2回に出場したランナーによると、第2回でも花束はなかったそうだ。

 

バナナ、みかん、東京の水ペットボトル
とにかく、腹が減っている。バナナをすぐに剥く。
隣りで頬張っていたおじさんに「あまり食べ物なかったですよね?」と水を向けると、そうだっけという顔で笑っていた。

 

雨は小降りになっている。
久光製薬の社員がエアサロンパスを配っている。
傍らで椅子をタオルで拭いて、今ここでどうぞと勧めてくれる。
「今やっておけば、明日が違いますよ」
それは、的を射ている。
ミニボトルを1缶使い切ったお陰で、翌日の筋肉痛は驚くほど軽いものだった。

 

荷物受け取りは迅速。
第一回で、散々待たせた反省を元に、改善されていた。

 

ビッグサイト屋内の広いホールが、着替え場所に用意されている。
これで、3回のうち2回が雨にたたられた東京マラソン。この会場をゴールに選んだことが功を奏している。
ただ、マラソンの後は、晴れた空の元、芝生に寝ころびたい。

 

着替えたところで、ゴールに4万個のおにぎりが用意されているという話を思い出した。
4度めの正直。今日こそはおにぎりにありつきたい。
だが、それらしき姿はどこにもなかった。

 

3月23日
快晴
なんだよこれ 空につっこむ。

 

そして、今日も風が強い。
それにしても昨日のレース。
参考にならなかった。
あれくらいの調整ならば、どれくらいのタイムが出るという相関が見えない。
しかしながら、また一つマラソンを知った。
いくら脚力があっても、腹が減ったら走れない。
そういうマラソンもあるのだ。

 

来年のレース「長野を走る」と決めていた気持ちが少し揺れていた。

 

ユニフォームと靴を洗う。
マラソン用品を元の位置に戻す。
日常へ戻る。
祭りの季節が終わった。

 

ハイタッチ数 700人
走りながら撮った写真 20枚
ゴールまでに聴いた音楽 84曲
食べ物をいただいた私設エイド 5人
路上に捨てたゴミ 0

 

やっぱり、いつかまた走りたい。
ここを超える楽しいコースはないのではないか。
その前に、次の挑戦が待っている。

 

【 おわり 】

 

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