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2009年4月 1日 (水)

ゴミを捨てるエコマラソン

東京マラソンを走りながら書いた 【 7 】

品川折り返し
できるだけ、応援のそばを走ろうと思い、大回りする。
背中に追い風を感じているわけでもないのに、体がエアポケットに入ったように軽い。

15→16kmは向かい風のため、8分4秒だったが、
折り返した 16→17kmは、6分56秒。

空は曇っている。
体調は悪くない。足は鈍っていない。
だが、得たいの知れない重苦しさがあった。
それは、街のもつ空気なのか。
あるいは、何らかの不調が体に忍び寄っているのか。

再び、日比谷公園が近づいた頃、対向車線に「収容」と書いたはとバスがやってきた。
東京マラソンのコースは、東京の見所を巡っているので、その日、はとバスは商売あがったり。
そこで、大会車両として、はとバスが採用されている。
窓越しに見える、DNFランナーがうつむいて見える。
「こわい~」
思わず、声に出た。

2年前、僕はあのバスに乗った。
湘南国際31.3km関門から、ゴールまでの10km。
自分の足で走ることなく、バスで走った。

「これから、10km先まで行くんですけど、バスがいいですか?それとも走りますか?」
と言われれば、世の中の大半の人はバスを選ぶ。
ランナーでさえ、日常生活で、その二者択一の場面を迎えたならば、バスに惹かれる。

だが、レースの開催時間中、ゴールまで走りたい時に、強制的に乗せられるバス。
その無念は、経験した者でなければわからない。
まだ、人影もまばらなバスの席にゆったりと座り、彼らは、自分に起きていることが、まだ受け入れられないでいるだろう。
車窓越しに、先を行くランナーを見やる。
苦しそうに走るランナーが、どれだけ羨ましく感じることか。

この先、制限時間の厳しいレースでは、再び、バスとの競争もあるだろう。
だが、バスから逃げるスリルがあるレースのほうが、マラソンは楽しい。
この日のレースは、退屈だった。

後で思い返した時、この18km~20kmあたりのことを、思い出せない。
この時は、特に疑問を持たずに走り続ける。
道路の左手に見えていたはずの東京タワーも、一度も目に入らなかった。

20kmを過ぎる。
収容バスが通り過ぎた後の道路は、道路封鎖解除に向けて、片付けが始まっている。
エイドにはすべて立ち寄る。
水だけのエイドでは、ボランティアのユニフォームが水色。
アミノバリューがあるエイドでは、オレンジ。
コップの色だけではなく、ユニフォームの色まで違うのは初めて見た。
6時間台で走るランナーが通る頃、すべてのエイドは紙コップのゴミ山を走る。

マラソンでは、一切ゴミを捨てない。
もちろん、つばを吐いたりはしない。

「東京マラソングリーンプロジェクト」に賛同して、緑の靴紐や、リストバンドをはめてはみたものの、ゴミは投げ放題。そんなランナーのどこがエコなのか。

いつか、どこかのマラソン会場で「紙コップが一つも落ちていなかった」というニュースを聴きたい。
簡単なことだ。
そうしようと、決めるだけだから。

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