野球は追っかけ再生で30分で追いつく
2006年4月27日、初めて巨人戦が地上波で放送されなかった。
まだ3年前のことなのだが、もうずいぶん昔のことのような気がする。
2006年シーズンはその後、巨人の低迷と共に放送のない日が増え、優勝の望みが消えた9月には、放送がないことが当然となった。
プロ野球が始まって以来 70余年、地上波で誰もが見ることができた巨人戦は、2006年をもって、有料(CS放送G+)で見る番組へと移行したのだった。
2007年
原監督が復帰して2年めのシーズン。
かつて、ニッテレはビジターゲームでも、放送権を買って放送していたが、そういうことはなくなった。
そして、ホームゲームも、他局へ売却することが多くなる。
巨人は2年つづけて4月は首位と好調な滑り出し。
松井が去って以来、裏切られつづけて、はや4シーズンが過ぎた。
それでも、今年こそは・・・と期待してしまうのが、ファン心理。
しかし、テレビの前に座れども、そこに巨人が映らない日が多かった。
2008年
ニッテレ地上波は、ホームゲームさえ放送しなくなった。
巨人戦をすべて見るためには、BS環境を整え、それとは別に CSの G+、フジテレビ739に入る必要があった。
2009年
ホームゲームは、CS放送G+が試合開始から終了まで放送。BS日テレが52試合を放送。
BS、CSの視聴者を獲得するためか、主催試合を地上波他局へ売却することはなくなった。
野球中継を取り巻く環境が、2006年からの3年で劇的に変わったことが、おわかりいただけたと思う。
そして、環境の変化はメディア側だけでなく、視聴者の側にも起きた。
それは、ハードディスクレコーダーの普及による「追っかけ再生」の登場である。
シーケンシャルな録画装置であるビデオテープでは、録画しながら、巻き戻して再生することはできない。録画して見るには、放送が終了する時間まで、待つ必要があった。
スポーツは生きている。その「同時間性」が命だ。生で見るのがスポーツの醍醐味であって、録画なんてもってのほか。同時間帯にドラマやバラエティがかぶっていたら、そちらを録画して後で見る。ビデオテープの時代には、スポーツをビデオで見るという発想があり得なかった。
一方、ランダムアクセスのハードディスクでは、録画しながらでも、録画済みの部分から見始めることができる。
18時から録画をしておいて、20時に帰宅する。
録画は続けながら、18時の時点から見始める。
タイムシフトである。
自分が、2時間前に戻ることで、同時間性を感じることができるのだ。
タイムシフトでは、時間を飛び越えることもできる。
チェンジの攻守交代は飛ばす。
投手交替の幕間も飛ばす。
捕手がマウンドに行ったら飛ばす。
初めはそんなものだが、次第にエスカレートしていく。
贔屓チームの守備も飛ばす。点を取られるところなんて、見ても全然楽しくない。
かつての江川のような投手でもいれば、守備もまた見応えがあるのだろうが、現代にはそういう投手がいない。
贔屓チームの攻撃くらいはゆっくり見るかと言うと、それも黙って見ていられなくなる。
ファウルを打つと「30秒スキップボタン」で飛ばす。
ランナーが出た時は、捕手のミットにボールが収まると、飛ばす。
2009年から「20秒ルール」が始まったため、無走者の時は、30秒スキップボタンだと、1球分行き過ぎてしまう ・・・
結局、2時間のゲームを 30分程度で追いついてしまう。
野球中継を取り巻く環境は、大きく変わった。
だが、この数十年、変わらないものがある。
それが、野球報道に関わるメディアの「プロ野球独特用語」である。
つづく
| 固定リンク | 0
「スポーツ」カテゴリの記事
- 柔道混合団体 ルーレットが回って僕の目が点になった(2024.08.06)
- 角田夏実の表情をみて僕の「五輪スイッチ」が入った(2024.07.31)
- お家で見る「夏の風物詩」鈴鹿8耐2024(2024.07.22)
- ポルトガルベスト8止まり ロナルド「最後のW杯」「もう1度ユーロ2028」も見たい(2024.07.19)
- GKディオゴ・コスタのビッグセーブ「4」連発でポルトガルが2大会ぶりにQuarter Final(ベスト8)へ(2024.07.06)