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2009年5月16日 (土)

ナイター中継のプロ野球独特用語

 「さぁ、バッターボックスは、ただいま 売り出し中 のマツモトっ」

 売り出し中
 この言葉を聞いた最古の記憶は、巨人の中畑だった。
 野球中継のアナウンサーだけが使う「プロ野球独特用語」の代表格である。

 
 売り出し中 ~しらべるの定義~
 二軍から上がってきて活躍し始めた、比較的年齢が若い、注目されていなかった選手に使う表現。

 育成枠から一軍入りした選手は、全員「売り出し中」でくくられる。
 打者に使われることが多い。
 打者は打席に入るというイベントがあり、最低でも1チーム1試合27人が打席に入る。
 そこで「売り出し中」というキャッチフレーズがあれば、アナウンサーにとっては、メリハリがついて便利なのだ。
 ほかには 「不動の4番」 「恐怖の8番」 「意外性の男」 などが、打席に入る打者の枕につく。

 星陵高校からはいった松井秀喜
 東海大学からはいった原辰徳
 彼らが、一軍のゲームで活躍を始めた頃 「売り出し中」とは言わなかった。

 それを言うのが「鳴り物入り」である。
 甲子園に出場して、メディアに多く露出してきた選手が、プロ野球入りする。
 入団の時点から「活躍はまちがいない」という目で、ファンが見守っている。
 だから、鳴り物入り。
 注目されていない選手は、入団しただけでは、鉦も太鼓も鳴らないのである。

 足が速い一番打者を「核弾頭」というのは、日本だけだろう。
 日本は、世界じゅうで唯一、核ミサイルの攻撃を受けて、大量に死者を出した国だ。
 野球選手に「核弾頭」という代名詞をつけるのは、巨人のマツモトを「売り出し中のテポドン」と呼ぶのと、何ら変わりない。
 きっと、子供たちも真似をするだろう。
 足が速いというだけで 「行け、ノドン!」などと野次られ、心を痛めている少年がいるかも知れない。
 由々しきことだ。
 しかし、ナイター中継で日常的に使われている「核弾頭」という言葉を、野党が国会で追及したという話を聞かない。

 メディアは、憲法9条改正論には、常に大きく反応する。
 そのメディアが「核弾頭」を連呼して、核ミサイルの高性能を礼賛している。
 そのウィットこそが、日本が平和で、文化的国家である証だろう。

 打者と比べると、投手につく代名詞は少ない。
・サブマリン
 下手投げ投手のこと。
 サブマリンという言葉は、ビートルズが暢気な単語に変えたが、元々は戦争で使う潜水艦だ。
 核弾頭といい、これらの軍事用語を引く人は、心のどこかで戦争を讃えているのではないか。
・守護神
 頼りになる抑え投手。
 この言葉も危ない臭いがする。

 打者の活躍を表す言葉に「猛打賞」がある。
 1試合に3安打以上打つこと。
 スポンサーから、選手に賞品が出る。
 3安打めを打つと「ただいま 猛打賞を記録したスズキ選手には、崎陽軒からシウマイ1年分が贈られます」・・ というように、スポンサー名と贈られる賞品が場内で放送される。
 テレビのスポンサーとは会社が違うので、テレビ放送の集音マイクはその音声を拾わない。

5/18 につづく



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