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2009年5月19日 (火)

小笠原人形と録音テープ

 MLB、欧州サッカー、欧州のモータースポーツ、どの衛星中継を見ても、ヒーローインタビューは流れない。

 一方、日本には、ヒーローインタビューがある。
 野球に始まり、サッカー、ボクシング、プロレス。。。
 どんなスポーツにもある。
 プロレスだけはWWFがインタビューを通り越して、リングで寸劇までやっているが、あれは日本でラッシャー木村が始めたマイクパフォーマンスを、ヒントにしているのだろう。

 これは大変よい趣向である。
 応援する側が勝利した場合、ファンの誰もがその余韻に浸りたい。
 お金を払い、会場に足を運んだ人へのサービスとして、そして、選手とファンのむすび付きを高める意味でも、このイベントはすばらしい。
 一方、敗者の側となったファンは、このインタビューをボイコットし、そそくさと席を立つという、無言の抗議ができる。
 もしも、プロ野球にヒーローインタビューがなければ、試合の行方が決した時点で多くのファンが家路を急ぐことになり、場内ビール販売店の経営が傾くだろう。

 ヒーローインタビューは、勝者側のファンにとって本来、至福の時間なのだ。
 ところが、そのインタビューがつまらない。
 東京ドームで観戦した場合、サインボールの投げ入れがなければ、インタビューは聞かずに帰りたい。
 神宮では迷わず、電車の駅をめざす。

 選手が流ちょうに話す欧州サッカーやモータースポーツの会見とは違い、このインタビューは、聞き手の質問に対して、選手の答えは1フレーズどまり。
 「ぶつ切り会話」なのだ。

 巨人小笠原は、年間を通して
 「ありがとうございます」
 「ファンが打たせてくれました」
 「一歩一歩、足下を踏みしめてがんばります」
 ・・この3フレーズを繰り返している。
 これならば、かつてアンジャッシュがやっていた「ピーポくん」ネタ同様、小笠原人形を立てて、録音テープを流しても同じだ。時々、順番を間違えたりしながら・・・
 小笠原は、本来、語彙が豊富で、言葉を大切にする選手。
 しかし、今のヒーローインタビューでは、あれ以外に答えようがない。

 なぜ、日本プロ野球の選手は、こんなに口数が少ないのか。
 その原因は、プロ野球のヒーローインタビューが、漫才を原点としていることにある。
 インタビュアーがツッコミ
 選手がボケ

 いつの頃からか、できあがった漫才方式。
 インタビュアーに言わせれば「選手の口数が少ないから、小出しの質問を次々に聞かざるを得ない」ということになる。
 一方、選手に言わせれば「聞き方が悪いから、あれ以外に答えようがない」ということだろう。

 これは、選手の言い分が正しい。
 次にその論拠となる一例を挙げよう。

「気持ちを聞かせてください」
 ヒーローインタビューの聞き手が、選手を困らせるために繰り返す質問。

つづく

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