メジャーの日本人は、なぜ英語で話さないのか?
猛打賞ということばだけは、他の「プロ野球独特用語」とは異なる特徴がある。
それは、視聴者であるファンも使うと言うことだ。
「お、猛打賞」
レフトスタンドに陣取っていると、ある打者が その日の3安打めを打った瞬間、ぼそっとつぶやく兄ちゃんがいる。
彼はプロ野球の実況アナウンサーになりたかったのかも知れない。
MLBには「マルチヒット」という言葉がある。
マルチヒット
1試合に2安打以上打つこと。
2安打で誉めるとは、MLBはなんとゆるいスポーツ団体なのだろう。
NHK 正午のラジオニュースが「イチローはマルチヒットを記録」というニュース原稿を読んでいる。
日本では、2本くらいでは誰も褒めないのだ。
選手を甘やかすと、ろくなことはない。
ただ、日本のナイター中継でも「マルチヒット」を使うアナウンサーが出始めている。
日本の選手が堕落する前に、放送自粛用語に指定するなどの手を打つ必要があるだろう。
同じ、MLBから入ってきた言葉でも、外野手に冠される「レーザービーム」ならば、許容範囲だ。
レーザービーム
右翼手から三塁、外野手から本塁への矢のような送球。
言葉はMLBから輸入したが、選手は輸出してしまった。
言葉の輸入に見合う選手が、日本にも登場することを願う。
そして最後に、ナイター中継でもっとも「プロ野球独特用語」が炸裂する場面、それがヒーローインタビューだ。
MLB、欧州サッカー、モータースポーツのF1、MotoGPのインタビューでは、選手はテーブルを前にして、椅子に腰掛けて話す。
MLBや欧州サッカーでは、選手は試合を終え、シャワーを浴びた後で会見場に現れる。スーツを着てネクタイまで締めていることもある。
会見場を取り仕切る司会者が「じゃ、しゃべってみて」 程度に水を向けると、選手は立て板に水のように喋り始める。
F1とMotoGPでは、公用語=英語で話すことが義務づけられており、英語を母国語としない選手は、たどたどしい英語で一通りしゃべったところで、司会者から「じゃ母国語でどうぞ」のお許しが出る。
そこからは、使い慣れた母国語で、たった今喋ったことと同じことを、肩の力を抜いて話す。この時の選手のほっとした表情がなんともいい。
欧州サッカーの場合は、当該リーグの母国語で話すことが義務づけられており、リーガならばスペイン語。プレミアならば英語で話す。
選手はしっかりと、その国の言葉を習得している。
異国に渡ることと、語学習得はセットなのだ。
欧州サッカー報道では、選手が現地メディアにその国の言葉で喋っている映像に字幕がつく。
MLB報道では、日本のぶら下がり記者を前に、日本語で喋っている映像が流れる。
中田英寿がペルージャに渡った時、多くの視聴者は「中田英寿はスゴイ。プレーがスゴイだけじゃなく、イタリア語まで覚えている」と礼賛したものだが、それが契約の一部なのだ。
ぜひ、MLBの日本人選手が、英語でメディアに話している姿を紹介してもらいたい。そうすれば、日本のよい子たちが運動だけでなく、勉強もしなければ一流になれないことを学ぶだろう。
異国に渡った選手たちは、言葉のハードルがあるからと言って、無口になることはない。
当日を迎えるまでの準備、競技中の心境、周囲のスタッフの活躍、ライバル競技者についての評価、勝負の決め手、次の戦いへの意気込み・・・
なに一つ聞かれてもいないのに、実によく喋る。
ところが、日本プロ野球のインタビューは違う。
つづく
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