« 小笠原人形と録音テープ | トップページ | 河村たかしが、雰囲気出てきたがね »

2009年5月20日 (水)

プロ野球 ヒーローインタビュー改革案

「気持ちを聞かせてください」には、いくつかのバリエーションがある。

「今の率直な気持ちを」
「あの場面、どんな気持ちで」
「逆転勝ち、今の気持ちを」
「もう一度気持ちを」

 聞き手は、手を変え品を変えているつもりなのだろうが、聞いていることは同じだ。
 これでは、選手はたまらない。

「今の率直な気持ちを」
そうですね。嬉しいです
しーん

「あの場面、どんな気持ちで」
そうですね。次につなごうと思っていました
わぁ

「逆転勝ち、今の気持ちを」
そうですね。最高の場面で打てましたあっ
わぁ~

「もう一度気持ちを」
そうですね。また打てるようがんばりますので、これからも応援よろしくお願いしまぁすっ
ど~っ

 「そうですね」
 インタビューで、語彙が貧しい選手が、考える時間を稼ぐために使う相づち。

 「そうですね」はプロ野球解説者の著書で、その見窄らしさが取り上げられているが、選手は本を読まないようだ。
 巨人は若手を対象にしたメディア研修をおこない、表現豊かな受け答えを指導しているが、聞き手側が旧態依然としているので、なかなかうまくかみ合わない。その中で唯一、東野だけが「そうですね」を、なんとか言うまいと頑張っていて微笑ましい。それでもつい言ってしまった時の「しまったぁ~」という苦笑いが笑える。事情を知らない人からみると、この青年はなにを笑っているんだろうと?マークが浮かんでいるだろう。

 「わぁ~」
 ヒーローインタビューにおける、観衆のお約束反応。
 教壇で「言ってなかったけど、きょうはテストをやる」という教諭の宣言に対する「え゛~~~っ」の唱和と同様のステレオタイプな反応。

 ヒーローインタビューにおいて、聞き手は「わぁ~」を引き出さなければならないという強迫観念を持っている。
 初めにわぁが取れないと、無気になって、わぁ狙い質問を連発する。

 「今日は、24回めのバースデーっ!」
 「わぁ~」
 グラビアアイドルか・・

 聞き手は、テレビの前で聞いている数万人から馬鹿にされていることに、いつまでも気づかない。

 十年一日のごとく、何も考えないインタビュアー。
 それを容認、あるいは指示しているテレビ局。
 聞かれたことだけ、答えてりゃいいと、自らに限界を設定している選手。
 互いにわかり合えない漫才コンビの漫才が、おもしろいわけがない。

 どちらかが、一歩を踏み出せば、漫才方式ではない、ごく普通のインタビューに生まれ変わるのである。
 簡単なことだ。それを、選手の誰かが始めればよい。

 今日は皆さん、球場に足を運んでくださってありがとうございます。
 雨模様にもかかわらず、たくさんの方が、こうして切符を買って見にきていただいて、1回表に守備についた時、心が熱くなりました。
 まず試合前ですが、相手のサトウ投手を前回打てていなかったので、今日は高めを振らないよう、練習でイメージをつくっていました。何かを前回と変えたくて、いつもより30分球場入りを早くしたのも、よかったかも知れません。ホームランが打てたあの場面は、練習のイメージがあったから、内角のいつもならば見逃してしまうコースを、うまくすくうことができました。もちろん、あの場面、2点負けていて、ファンの方が期待していることも痛いほどわかっていたので、強い気持ちで一発打ってやろうとは思っていました(わぁ~)
 それから、今日はトウノがいいピッチングをしていたのと、前回投げた時に勝ちをつけてやれなかったので、なんとか打って彼に勝ちをつけたいと、チームの誰もが思っていました。今日はいつにも増して彼の投球リズムがよくて、特にホームランの前の守備は、10球でスリーアウトをとってくれたので、よし!いけるという気持ちがチームにみなぎっていました。それが、あの場面、サカモト、マツモトが打ってつないでくれたチャンスになったんだと思います。
 最後に、明日からはロードで甲子園、広島と遠征に出ますが、僕らはよく体調を管理して、負け越さないよう、いい試合をしてきたいと思います。そしてまた、一週間後、ここに戻ってきますので、その時は皆さん、また、お会いできるのを楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。帰り道、お気をつけてお帰りください。

 「お、やるな」と、思わずにっこりしてしまうような、インタビュー。期待してます。

| |

« 小笠原人形と録音テープ | トップページ | 河村たかしが、雰囲気出てきたがね »

スポーツ」カテゴリの記事