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2009年6月17日 (水)

世界初 反則を申告するレスラー

えぇ、すいません。
気の弱い皆さん。
怖い話、今日まで続いています。

プロモーターの僕は、第1回ワールドリーグのレギュレーションを次のように決めた。

フォール勝ち、ギブアップ勝ち:得点3
反則勝ち:得点0
引き分け:得点1

NWAやAWAといった由緒あるタイトルは、反則勝ちでは王座が移動しない。
だから反則勝ちに価値はないのだ。
そんな理屈をこねて、このルールを通した。

僕の優勝への道すじはこうだ。
初戦、僕がジャイアンをひっかいて反則負けになる。
ジャイアンに勝ち点はつかない。

あとの2人、シンちゃんとオノ君にジャイアンが順当に勝てば、勝ち点6。
僕がシンちゃんとオノ君に勝っても、同じ6点。
これでは、直接対決で負けている僕の分が悪い。

そこで、僕が審判をするジャイアンとオノ君の試合では、しきりに両者に割って入り、時には注意を与え、ついでに長々と説明を入れたりする。
そうして、10分のタイムアップを狙う。
もしくは、何かチャンスがあれば、オノ君に難癖をつけて、反則負けにする。
それで、ジャイアンの勝ち点は、よくても4点どまり。

僕は、これに勝てば勝ち点6で優勝という試合で、シンちゃんを相手にあの大技を決める。
そう、アントニオ猪木がストロング小林に決めた技。

原爆固め ジャーマンスープレックスホールドだ。

僕はこの日のために、特訓を積んでいた。
ジャーマンといえば、レスラーズブリッジ。
真後ろに反り返りながら、手を使わず頭で着地するというもの。
首が強くなければ大変に危険な行為であり、よい子の皆さんは、絶対に真似をしてはいけない荒技。
それを、よい子の僕は極秘裏にものにしていた。

ところが、初戦から計算が狂った。
試合開始早々、ジャイアンが攻勢に出る。
グラウンドでヘッドロックを決められた僕は、全く動けない。
そこで、予定よりちょっと早いが、ジャイアンの左腕を思い切り、ひっかいた。
レフェリーが気づいて、ワンツースリー・・
とカウントを入れてくれさえすれば、そのままカウントファイブを聞いて、僕の負けになる。
・・はずだったが、レフェリーのシンちゃんが気づいてくれない。

このままでは、僕のほうがもたない。しびれを切らした僕は
「シンちゃん、これ反則だろ?」
と、ひっかいている左手をアピール。
この日僕は、自ら反則を申告する、世界で初めてのレスラーになってしまった。

ちょっとタンマ
そんなことじゃ困るよ、シンちゃん
こういう時は、きちんと見てくれなきゃ

そう言いつつ、ヘッドロックを解いてもらったのだが、すっかり4人のムードはしらけてしまった。
しばらくの間、4人は草むらに座り、やがて、もうやめようかという意見でまとまった。

あぁあ、あんなに練習してきたのにな。
僕は、すっくと立ち上がった。
そして、自らの技量をアピールすべく、草むらに向かって、レスラーズブリッジを決めた。
その時、思いあまって、角度が深く入った・・

やばい、すぐ起き上がり、首をチェックした。
大丈夫だ。ちゃんと頭はついている。

ワールドリーグは、開幕初戦の3分で終わった。
あの日、そこで僕らのプロレスが終わらなかったら、僕が終わっていたかも知れない。

あぁ、怖い
もう、思い出すのはよそう。

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