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2009年6月 8日 (月)

パワーポイントの錯覚

 世の中には「営業」という職種がある。
 実はそれほど営業が好きな人はいないのだが、自分の才能を信じ切れない人は、
「人と接する仕事が好き」
と自己暗示をかけて、営業の仕事へ進む。
 その方が、手堅く正社員の位置を確保できるからだ。

 営業は「飛び込み」を含めた開拓営業と、既存顧客を回る「ルート営業」に別れる。
 後者はとにかく楽だ。先輩が築いた人間関係、仕事の流れというレールの上を、ちょっと工夫しながら走ればよい。
 ルート営業に身を置いて「自分は実力がある」と思っている人の大半は勘違いである。
 会社に入った時からルート営業しか知らないので、自分がその尺度の中でしか測れなくなっていることにさえ、気づかないのだ。

 前者の「飛び込み」を含む新規開拓は辛いが、身につく力は格段に大きい。
 飛び込みの醍醐味を知らずして、いっぱしの営業を気取っている人を見ると、微笑ましくて仕方がない。

 これら、種類の違う営業に共通しているのは、取引先・顧客への「説明」である。
 この説明のうち、会議室・ホールで行うものを特にプレゼンと言う。

 プレゼン=プレゼンテーション。
 企画、提案、答申について説明すること

 1990年代、パソコンは世にあったものの、プレゼンはホッチキス(=ステープラー)でとめた紙の資料を配り、OHPで行われていた。
 2000年代に入ってから、ITベンダーのカンファレンスは、100% Power Point等のスライドショーで行われるようになった。
 OHPとトラペン(トランスペアレンシー)を生業にしていた事務機メーカーは、時代が移り行く悲哀を味わった。

 一度でも、プレゼンのスピーカーの側に立ったことがある人ならば、その大変さがわかる。
 事前の資料集め。その精査。
 スライドショーの作成。
 身内でのレビューという名の事前チェック。
 ただの「説明」に見えるプレゼンには、膨大な準備の時間が費やされている。

 だが、一度もプレゼンをやったことがない人には、それが「机上の空論」「パソコン遊び」 に見える。
 プレゼンの場で、本題とは外れた枝葉末節にケチをつける人は、自分で企画をまとめる力がない人である。
 学歴と寝技で偉くなった管理職に、こういう人が多い。

 プレゼンを聴いた時は 「今イチだねぇ」 と言っておいて、後でちゃっかり盗用している「いただき」や「参考にするから」とファイルを要求するのはモラル違反。

 2001年頃には、内容そっちのけで「 Power Pointっていいねぇ、俺も始めようかな 」という人が大勢いた。
 一同、スライドショーの動きに目がうるうるしているのである。

 自分もあれをやってみたい・・・

 そういう人は、パワーポイントを使うと、企画が沸いてくると錯覚していたのである。

つづく



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