対岸のガンダム、貸し切り
2016年に東京に五輪を招致するために、アイツが立ち上がった。
船の科学館、フジテレビのすぐそば、お台場の潮風公園にすっくと立ったのが、世界中のオタクの憧れ、ガンダムである。
こうなると、五輪招致委員に、何人オタクが紛れ込んでいるかで、勝負は決するだろう。
巨大なアイツを写真に収めたい。そう思うのが人情ってものだ。公開は8月31日までであり、悠長にしてはいられない。かと言って、芋を洗うような人混みには、出かけたくない。
そこで、作戦を練る。
潮風公園の位置をネットで検索すると、公園が海べたにあることがわかる。海を隔てた最短距離の場所は、入国管理局がある品川埠頭である。巨大なアイツのことだ。対岸からでも、その勇士は際だっていることだろう。
さっそく、車に望遠レンズと三脚を積み込み、港区港南をめざす。海岸に車を停めれば、そこは特等席。誰にも邪魔されない。
脳内には早くも、お台場にそびえるビル群に、忽然と現れたあいつの絵が浮かんでいる。
画像は脳内イメージです。
車は目的地にたどり着いた。
そこには、人っ子一人いない。
やった!ガンダム貸し切り!
だが、そこには埠頭の施設があり「立ち入り禁止」の看板。
海岸線までは、まだ1区画分、距離がある。
車を降りると、さっそく準備にとりかかる。
立ち入り禁止の看板のヨコに三脚を立て、望遠レンズをとりつけた一眼レフをセットする。
たった一人で、港湾施設に向けてカメラを向けていると、テロリストに間違われはしないだろうか。
スナイパーと思われて、撃たれるのではないか。
佐世保の暮らしが長い人は、海べたの施設に向けてカメラを向けたら、撃たれそうな気がするのである。
アイツの姿を探す。
いた。
想定した通り、海べたにその勇士を誇っている。
障害物はない。
港湾労働者のおじさんが、自転車でこちらに向かってきたが、まったく無視された。
恐らく、このあたりには、日頃からスナイパーが出没するのだろう。
望遠レンズで、最大限に拡大して、アイツの勇士に迫る。
飛行機を迎撃するアイツ
巨大な舟に体当たりするアイツ
水上バスを踏みつぶすアイツ
そういえば、さっきから、アイツはずっと、向こうばかりみている。
おい、ガンダム、こっち向いてくれ!
何度、呼びかけても、アイツの反応はない。
これ以上粘っても、状況は変わりそうにない。それなれば、スナイパーに長居は無用だ。
早々に、機材を撤収して、任務を完了とした。
後で写真を確認して初めて、足下の白い物体が、アイツの信奉者の皆さんだとわかった。
それにしても、この作戦は消化不良だ。このままでは終われない気が、しないでもない。
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