マニフェストをよーみてちょ~よ
【 河村たかしを追っかけるがね 第18回 】
マニフェストを見て、その政党が本気で国民のために働こうとしているかを見分ける方法<その2>は「文書通信交通滞在費の廃止」である。
まず、国会議員の収入を確認する。
歳費=給与 1,561万円
賞与 632万円
これに諸手当がつき、およその年収合計は 3,500万円である。
では文書通信交通滞在費は、いくらもらえるのか。
地方議会では「政務調査費」がこれにあたる。名古屋市では年間660万円もらえるというあれだ。
国会議員がもらう文書通信交通滞在費は 毎月100万円で年間1200万円。
領収書一切不要。非課税である。
つまり、1200万円を何に使っても証拠は出さなくてよいのだ。
衆議院議員480人、参議院議員242人、合わせて722人が受け取ると、年間86億6400万円となる。
事業主が収め、サラリーマンが天引きされている税金のうち、86億円は領収書要らずで国会議員に配られているのである。
もちろん、それを他に流用する国会議員は一人もいないだろう。その目的のとおり「文書・通信・交通・滞在」に使っているはずだ。
ところが国会議員にとって悩ましいのは、手当の対象になるものがほとんどタダなのである。
文書は、国会図書館でタダ、調査もしてもらえる
通信は、議員会館の電話はタダ
交通は、議員無料パスでタダ
滞在は、視察は国家予算から出るのでタダ
すべてタダなのに、1200万円を使い切るのは大変なことだ。
それでもこれを返還する人はまず、いない。
国会議員は1200万円を使い切るため、たくさん本を買い、有権者に電話をかけ、バスや電車に乗りまくり、自宅には帰らずできるだけ高いホテルを泊まり歩く・・・
大変な職業だ。
そんなことに時間を費やすくらいならば、いっそのこと文書通信交通滞在費などもらわない方がいい。実際に使った分だけ領収書を出して請求するから、その分だけもらえればいい。
そう考える議員は少なくないはずである。
ただし、一人でそれを言うのは勇気が要る。
かつて、委員長特権を返上した河村たかし(民主党)は、その民主党の国対によって、その座を終われた。
公約を守り、費用弁償受け取りを拒否した則竹勅仁(民主党 名古屋市議会)は、民主党会派を除名された。
佐藤夕子(民主党 愛知県議会、2009/8/30総選挙に立候補)は、公約を守り費用弁償の受取を拒否したところ、民主党から受け取るよう圧力をかけられた。
先に挙げた政党助成金で縛られているため、党の方針に逆らうことは死活問題となる。
ただし、党としてのマニフェストで「文書通信交通滞在費の廃止」が謳われれば、その党の議員は良心の元に生きることができる。
官僚の天下りを規制する前に、自らの給与を下げ、手当を減らさなければ本気と言えない。
公務員を削減するためには、まず衆参議院定数を削減して、自ら範を示す必要がある。
多選を禁じ、世襲を禁ずる。
職業としての政治屋ではなく、国民のための政治家に変わるには、河村たかしが示しているような本気が必要である。
人の首ばかり絞める公約を並べて、自らの財布の紐は一切締めようとしない。そういう政党は、自分がいい思いをしたいだけだ。
*参考文献「この国は議員にいくら使うのか」角川書店
【 河村たかしを追っかけるがね 】 は、毎週木曜日に掲載しています。
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