お上下々 官尊民卑 はどーもならん
【 河村たかしを追っかけるがね 第16回 】
河村たかしと初めて会った委員会で、彼は参考人の僕たちに向かってこう切り出した。
このお上下々社会のシンボルのような、国会があって、霞が関があって、企業がその下にいる。次の時代には、この官尊民卑を改めなければならない。
アンケートをとると、子供に全く夢がないという。これは政治の最大の責任ですよ。
なぜ夢がないかというと、議員は二世ばかり、企業は金持ちばかり、こういう国を変える意味において、官尊民卑はよくない。
この時「官尊民卑」という単語は僕の耳にとまらなかった。
当然、官僚についての問題意識もない。
あとで議事録で読んで、そんな言葉があることを知った。
民主党は、官尊民卑すなわち官僚政治の打破。政治主導への転換をマニフェストの柱の一つにしている。
「政治主導」とは、政治家が政治の主導権を握ることだ。
え、今もそうじゃないの?
と思う国民が多いだろうが、今の日本の政治は、官僚主導による官僚政治である。
日本は法治国家である。
法治国家とは、法律が国を統治する国。
政治は、法律をもって行われる。
法律に決められていない、政治はない。
郵政民営化も、エコポイント制度も、すべて法律で決まっている。
法律をつくるのは、国会。
国会は唯一の立法機関である。
法律を審議するのは、国会議員だが、法律の草案を準備するのは官僚である。
本来ならば、政治家が法律の全文を起こせばよいのだが、そこまでの力量がある政治家は少ない。
もし、そんな政治家が居たとしても、そんな能力は票にならない。
有権者は、そんなところを見ていないからだ。
ゆえに、大半の法律が官僚の手によって、作られている。
これが、官僚主導である。
「官僚から政治家に主導権を取り戻す」 というと、あたかも官僚が悪人であるかのように思う人がいるかも知れない。
だが、それはまちがい。
これまで、政治家が政策に無関心で、能力が乏しかったために主導権が官僚側にあっただけのことで、官僚が悪者なのではない。
官僚が悪く言われるのは、天下り、渡り、権限を利用した口ききなどで、自らの財を成す人が一部にいたためだ。
それは一部であり、全部ではない。
ただし、今の仕組みでは、誰もがその「悪い官僚」になる可能性をはらんでいる。
【 河村たかしを追っかけるがね 】 は、毎週木曜日に掲載しています。
| 固定リンク | 0
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 日本の政治は怖すぎる 僕の国会中継の原風景(2025.02.03)
- 「話し合い」「改革が進む」ひと味違う国会 しらべるが選ぶ2023年の5大ニュース【3】(2024.12.30)
- 最高値更新とブラックマンデー しらべるが選ぶ2023年の5大ニュース【2】(2024.12.29)
- 2024総選挙 注視する2つの視点(2024.10.27)
- 自民党総裁選2024(2024.09.27)