軍艦島上陸 なしよ ^^;)
船室を出て甲板に上がる。
そこは船客が溢れていて、ほとんどスペースは確保できない。
一度、好位置をキープした人は、一通り見たら後ろの人と替わってくれるということはない。写真を撮り終えていても最後までその場所は離れない。
軍艦島を左回りに240度ほど回ったあたりで、ここがもっとも軍艦「土佐」に似ている角度であると船内放送がはいる。
ここで全景を捕らえたかったが、望遠レンズを装着した状態では近すぎて両端が収まらなかった。 船は大きくタテに揺れており、とてもレンズ交換ができる状況ではない。
仕方なく、端っこが切れた「土佐」の写真になった。
屋上が切り取られたような建物。 神奈川の猿島ではないが「元・日本海軍の要塞だった」と言われたら、ほとんどの人が信じるだろう。
かつて要塞でもあったかのような高台。
船の高さからでは判別できなかったが、写真中央に映っているのがドルフィン桟橋と思われる。 今日はこのわずかな距離が近くて遠い。
「端島の場合は、港と呼ばれるような波おだやかな波止場はないのだ。島からぽつんと飛び出したこの丸いドルフィンと呼ばれるコンクリートの塊だけが、唯一、船の接岸のためにあるだけである」
「軍艦島の遺産」後藤惠之輔 坂本道徳 長崎新聞社 2005年
ドルフィンとは小判型のコンクリート建造物。
かつてはここに船を着けて、ドルフィンから陸地へは橋が渡されていた。無人島となった後、橋は取り外された。
観光利用のために、その橋を再び架けたわけだ。
長崎港の天候をみる限り、上陸は楽勝だろうと思えたが、この海を見てその考えはとうに消えている。
もう十分に景色としての軍艦島は堪能した。
恐らく来年またこの海にくるだろう。
軍艦島をぐるっと一周するのに30分。
船は長崎港を目指してスピードを上げた。
船内放送を終え、乗船のお礼を終えた船員さんに、船内一杯の拍手が鳴り響いた。
11:45 長崎港に帰港
乗船前、記念にもらった「ドルフィン桟橋の石」ストラップはあれから2ヶ月、高知で買った龍馬像、ハウステンボスで買ったエッシャーの栞の隣り、いつも見える場所に飾っている。
そして今、この原稿を書くためにそれを手にとり、初めて説明書きを読んだ。。。
かつて海底炭坑の島として栄え、その姿が軍艦・土佐に似ていることから「軍艦島」と呼ばれた端島。炭坑閉山後、長い眠りについていた島は、
「九州・山口の近代産業遺産群」の構成資産の一つとして2009年1月、世界遺産暫定リストに登録され、新しい歴史を刻み始めました。
現在、島から構造物などを持ち出すことは一切禁止されていますが
気象条件等で残念ながら上陸できなかった方だけに
桟橋を造る際に削ったコンクリートの破片を記念にお持ち帰りいただいています。
上陸できなかった人だけのプレゼントだったとは、今初めて知った。それを知れば、上陸できなかった「軍艦島vol.1」にも意義がみえてくる。
「軍艦島ストラップ」でネット検索すると、ヤフオクで1400円、1600円で落札されていた。
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