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2009年10月23日 (金)

断絶 僕はちがう

「床に倒れた老婆が笑う」
とか、へんかろ~

五島から佐世保の親戚に遊びに行った僕に、従姉妹が言う。
どうやら、フォーク歌手のコンサートを見てきたらしい。
音楽をコトバで説明されても共感は作りづらい。
その場は、聞き流して終わった。

音楽を聴く習慣といえば、家族でお出かけする時のカーステレオ。
選曲は父の趣味なので、いつも本田路津子や渚ゆう子が流れていた。
「今日の日はさようなら」は最近しらべるまで本田路津子の唄だと思っていたが、1966年に森山良子が出したヒットをカバーしたものだった。

家には当時としては立派と言えるステレオがあった。
プレーヤー、チューナー、アンプが一体となったコンソール。
同じ大きさの「L」「R」のスピーカー
3つの木目家具調筐体が並ぶ、昔ながらのステレオ
コンソールのボックスには、オプションで買ったのか、据え置き型のオープンリールのデッキが収まっている。
ステレオでかけるのは、たまに買う45回転のEP盤。
33回転のLPは、CBSソニーポップス全集があったが、自分がかけて聴くことはなかった。

「これよかよ~ 聴いてみるね」
ある日、英語の先生サトウが音楽室で僕に1枚のLPを見せた。
なぜ、英語の先生が音楽室なのか。
英語だけではなく音楽も教えていたのか。
よくわからない。
サトウは推定20代独身教諭であったが、生徒皆が憧れるマドンナというわけではなく、気の利いた話せる先生という役どころ。
英語がぺらぺらではないが、授業の始まりだけは英語で挨拶。
「Fine, and you?」
と言われると今でも「I'm fine! 」と合唱してしまいそうだ。

「Kawasimo」という名前の入ったビニル袋がかかった、ひときわ大きい紙の板には階段が映っていて、髪の毛がもじゃもじゃの暗そうな青年がぽつんと座って手紙を読んでいる。
 当時まだ、外で座り込む人はいなかった。
 人が行き交っている階段にぽつんと座っている青年。
 「僕は違う」と言っているようだった。

「だんぜつ・・?」
レコードを女性に勧められるのは初めての経験であり、そのこと自体がおもしろそうだ。
今のCDと違って、レコードの貸し借りは信頼関係の証だ。
操作を誤ればダイヤモンドのレコード針は盤面に修復できない傷を残す。
返って来たレコードで持ち主はいつも「ぷつ ぷつ」という異音を聞かなければならない。
人から借りたモノ
レコードというデリケートなモノ
を慎重のうえにも慎重に扱ってくれる人。
そんな、信頼を寄せる人にしかレコードは貸さない。
(考えには個人差があります)

信頼を寄せてくれた彼女に、断る理由も見あたらない。
家に持ち帰り、まずは針を落とす。

エコーの効いた前奏
なんだか、スゴイことが始まりそうだ。
張り切って弾けた歌唱。
こんなのは聴いたことがない。

曲目からいけば、この曲の前に「あこがれ」があるのだが、その記憶が飛んでしまうほど井上陽水「断絶」の衝撃は大きかった。

すぐに針をあげて、オープンリールデッキを取り出した。

Danzetsu_2

不定期で続きます

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