陽水が指揮するエアドラム
場内にジェフ・ベックが流れていた頃から1時間が過ぎ、日本武道館コンサートは終盤にさしかかっている。
●クレイジーラブ
先日CS放送でみた映画「かもめ食堂」は思いの外、いい映画だった。
映画はすべて10点法で自己満足度を記録していて、これは 7点。
今年ここまで見た165本中、7点以上は79本なので、中の上に位置する。
エンディングにこの曲のイントロが始まった時、幸せな気分に包まれた。
陽水曲は映画に合う。
もしも一本だけ映画を撮る予算があったら、最後の曲は陽水に頼みたい。
ふと気づくと左手になんだか変なものが視界に入った。
僕を蹴って行ったおじさんが、座ったまま
エアドラムをたたいている。
それもキレのないスローで酔狂なもの。
ヘッドフォンをはめて、ザブトンを叩いているロック少女のほうが、よほどカッコイイ。
「僕はこう見えてもドラムをたしなむんですよ」と言いたいのだろうか。
こんな人、コンサート会場で初めて見た。
聴衆が各々にエア楽器を始めたら、ステージにいる陽水はさぞかし、不思議な気分になるだろう。
●限りない欲望
スタンド2階席南。ステージを正面に見下ろすパノラマは絶景。
2列めから見た陽水の絵にも感激したが、1枚のフレームに納めるならば、こっちがいい。
この景色は、夏の旅でみた「波の高い軍艦島」「高すぎる明石海峡大橋」に匹敵する。
陽水を見つめる聴衆たちの海に、まだ波は立っていない。
●氷の世界
さぁ今日も陽水のダンスタイムが来た。
ギターを置いてフリーハンドで歌う陽水。
それに呼応してアリーナ席 28%の客が立ち上がり、6%が一緒に踊る。
立ちたい。
でも立てば、後ろの人が見えなくなる。
中腰前のめりの姿勢で、陽水と歌う。
今日も陽水はハーモニカを投げた。東京国際フォーラムの時は、前触れもなくいきなりサイドスローのバックハンド、しかも高速で投げた。よそ見していたら怪我をしそうな勢いだった。今回は、さぁ投げるよと予告モーションをつけて、アンダーハンドから山なりに投げる。落下点に殺到する者たち。これはこれで危ない。ただ、そんなことよりもあのハーモニカがほしい。キャッチした人は、ブログで写真を公表してもらいたい。
●最後のニュース
陽水は今日もこの難しい歌詞を難なく歌う。
「滅多に歌わないから、歌詞を覚えるのが大変。
リハーサルで自分は歌わずスタッフが歌っているのを聴いて思い出す」
著書「綺麗ごと」にそう書いている。
聴くほどに、この歌詞に沈む意味は深い。
その目で見てもいないのに、さも見てきたかのように話すあなた。
一寸先は闇というのに、確信を持って断ずる君。
「それは違うでしょ~」
と陽水が歌っている。
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