陽水の恋は、お兄さんの恋
●少年時代
ストリングスとホーンが入った編成で聞く「少年時代」
目の前で展開される光景は、まさにファンタジー、この世に現れた極楽浄土。
ローカル線が走り始め、友が田んぼのあぜ道を追い、トンネルに頭打つんじゃないかと心配した映画「少年時代」のラストを思いつつ、あっという間に夢の時間が流れてゆく。
20:21 少年時代を歌い終えると、いつも通り陽水は左の袖に姿を消す。
そこで、余韻に浸る間もなく隣のおばさんのしゃべりがリスタートした。
今日はアンコールがあるよ。
ほら、まだステージの機材に電気がついてるでしょ。
これで終わりだったら、場内の電気がつくからね。
みんな年寄りばかりで、誰も立たないね。
(おばさんの推定年齢45歳)
1曲かなぁ
2曲くらいやってくれればいいのにね。
彼女にとって、今日が生涯2度めのコンサートなのだろう。
アンコール
●Happy Birthday
ココでツアーオープニングのこの曲。
コンサートが、ここから始まるような気がして嬉しい。
●夢の中へ
一番が始まり、もう我慢できなくなった。
後ろの人に悪いが、今立ち上がらなければ後悔する。
申し訳ない気持ちを振り切って立ち上がり、陽水と歌う。
右となりの女性はとうに立ち上がっていて、通路に出て後ろの邪魔にならぬよう位置取りしている。
終演後振り返ると、後ろは1列だけ。もう少し早く立てばよかった。
●傘がない
東京国際フォーラムではやらなかった「傘がない」
ミッシェル・ポルナレフのようなカーリーヘアを振り乱して歌う陽水に憧れていた。
61歳になり、年相応の髪型になりつつも陽水は堂々としている。
立ちつくして聴くアリーナの20%の人たち。
WOWOWのカメラが、その表情を捕らえていることだろう。
陽水の恋は一つ上の世代の恋。
「傘がない」を聴いていた頃、恋は想像の対象だった。
この曲を聴いて恋愛本番の20代を過ごした世代と、同じように聴くことはできない。
●いっそセレナーデ
もう声がいっぱいで伸びない。
それでも一応の片を付けようとして歌う陽水。
もしも陽水が完璧主義者ならば、この曲で終演することはなかっただろう。
20:50 終演は思いの外、早かった。
これからは、一杯やりながら陽水を語る時間。音楽は1人で誰にも気兼ねせずに聴き、終わったら語り合う仲間がいる。これが最高だ。
武道館の門をくぐって歩道に出て振り返る。もう大きなタマネギは見えない。
僕らはイチョウの黄色い絨毯を踏みしめ、九段下の駅へ向かう人の流れに乗った。誰もが静かな笑顔を浮かべていた。
井上陽水デビュー40周年。
ただし今年は井上陽水としてではなく、アンドレ・カンドレとしてデビューした1969年から起算して40周年である。
井上陽水として「断絶」でデビューしたのは 1972年。
2012年になったら、今度は「井上陽水名義40周年」でご機嫌をうかがって欲しい。
その年が、そんな呑気な時代であればと願う。
この日テレビカメラが追っていたライブの模様は、2010年1月31日にWOWOWで放送される。
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