特別な席、500系1号車1列目
500系東海道引退まで、あと2か月あまり。
今週は新幹線「500系」について、書いています。
1999年3月
JR東日本・西日本が共同開発したあひる顔の 700系がデビューし、のぞみ運用についた。
「あひる顔」は、空気抵抗を減らすために流線型にしながらも、車内を狭くしないという妥協点から生まれた形。
走行音を静かにする狙いもある。
ものものしい風きり音を合図に近づいてくる 500系と比べて、乾いた空気の膜を張って走ってくるような音がする。
余計な音が混ざらない分、よく整備された線路を車輪がなめらかに滑ってくるのがよくわかる。
最高時速は 285km/h。 500系よりも 15km/h 劣るが、客室の居住性は格段によい。
500系のデビューからわずか 2年での新型デビュー。
かつての新幹線車両デビューの歴史を振り返る時、もっとも早い主役交代だった。
0系 1964年 21年
100系 1985年 7年
300系 1992年 5年
500系 1997年 2年
700系 1999年 8年
N700系 2007年
*右端数字は、次世代車両が出るまでの年数
先頭が細いため、座席数が700系よりも12席少ない。
快適さに欠ける 500系にあって、ただ一つ「もっと快適に」なる仕様の改訂があった。
普通指定席車両(3+2列)において、B列の椅子幅が広げられたのである。
3人掛けの椅子では、中央席(B列)の横幅が A列・C列に比べて広い。
両脇を他の乗客に囲まれるB列は、圧迫感がありもっとも人気がない席。
その椅子幅を広げたのは、新幹線では 500系が初めてである。
500系は、先頭の流線型部分が15mあるため、1号車の前側と 16号車の後ろ側には乗客用ドアがない。
写真は 2009年8月に博多南駅で撮影したホームの表示。
通勤新幹線 博多-博多南 区間でも、500系が使われているのだろう。
車体が細くなっている 1号車の最前列は 3×2ではなく、普通指定席ながら 2×2の4列。
普通料金で グリーン車気分が味わえると思い、2度めの 500系乗車では、この席を予約した。
当時、JR東海が発行するエクスプレスカード会員は、席をピンポイントに予約することができた。
先端の細くなっている部分のため、この席には天井の網棚もない。
その代わりに、座席横通路寄りに2段の荷物棚があり、上下で使い分けるようになっていた。
上下をどちらの席が使うかも表示してあり、気持ちがいい。
隣りの席に、はみ出して座る巨人
列車中の網棚は自分のものだと思っている横着者
列車のなかは「譲りらない合い」に満ちている。
荷物の置き場所まで、表示してあるというだけで、この席は価値がある。
つづく
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