イエローグラデ 9年1ヶ月の一生
イエローグラデ復刻版発売日は、正規販売店に問い合わせると教えてくれた。
当日は朝から開店に並ぶ。
30分前に着くと、もうそこには50人ほどの列。
「motoさん、遅いよ~」
弓道の先生にも教えてあげたところ、25番めあたりにお弟子さんたちと座り込んでいた。
それでもまだ50人。
1人1足、いや2足だとしても、なんとか買えるだろう。
この時点では余裕の苦笑い。
ただ、自分が買う US9(27.0cm)は最も売れるサイズ。
G-SHOCKなど他のブーム商品と違い、靴にはサイズがある。
自分に合うサイズが残っていなければ、涙をのむことになる。
それが唯一の気がかり。
店が開き、列が進み始める。
G-SHOCKなどと違い、靴の列は進みが遅い。
それぞれの人が、試し履きをするからだ。
靴はモデルによって作りの大きさが違う。
オリジナル(INLINE)では US9だったのに、SC(Sports Classic 再販)では US9.5 でジャストサイズと言うこともある。
ただ、この時点ではまだそれを知らない。
10分ほど経った頃、店内から段ボールを抱えた数人の兄ちゃんが、店頭に路駐した軽トラックに箱を積み始めた。
まさか・・
予感は的中した。
イエローグラデ 並行輸入ショップによるまとめ買いである。
「おい、なに考えてるんだ?」
「1人1足じゃないのか?」
行列したコレクターから怒号が飛ぶ。そんな中、店内から手ぶらのコレクターが出てくる。
「もう 29cm以上しか残ってないよ」
「ひどいよね」
そこで列は解体。人影もまばらになった店内では、納得のいかないコレクターが店員に詰め寄っている。
だが、終わってしまってから言っても後の祭り。
「彼らも営業努力ですから、認めなければ」
別にイエローグラデがなければ、この世が終わるわけではない。
店員さんによる並行輸入ショップ擁護の発言を聞いて、僕らは店を後にした。
その日のうちに、行きつけの靴屋さんに行く。
ノモマックスを買った後、8ヶ月でずいぶんな量の靴を買い、中でもこの店ではニューモデルのほとんどを買っていた。
朝方の "できごと"を話したところ
「そりゃひどいですね。でもウチにも急遽、入ったから、もってってください」
本来、イエローグラデSCは「ショップ」と呼ばれているナイキ直営店のみの流通とのことだったが、入荷したのだという。
元値での抽選販売を受け付けることにしたらしいが、顔なじみということで用立ててもらった。
これぞ、地獄に仏。地獄にイエローグラデ^^;)
「motoさん、US9でよかったですよね」
はい、はい・・ 感涙にむせび、試し履きもせず、包んでもらう。
結局、このモデルは US9.5がジャストサイズだと後でわかる。
ほとんど履くこともないまま、2006年に加水分解の日を迎えた。
9年1ヶ月の命であった。
つづく
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