コースを試走するランナーたち
仲見世通りを下る途中に、どうしても外せない場所にお参り。
幸せな気分になって善光寺を辞す。
ここで、今日のうちにお土産を確保しておくことにする。
「杏は善光寺の鐘が聞こえる場所でよく獲れる」
と言われているそうで、長野市には杏の銘菓が多い。
長野市のガイドブックによく載っている銘菓のお店は次の3軒。
■長野風月堂
玉だれ杏 求肥で巻いた杏ようかん
■利休堂
ゆきげ杏 干し杏に砂糖をまぶした菓子
あんず姫 あんずゼリーを挟んだ最中
■塩瀬製菓
そば餅 そば粉をまぶしたこし餡の餅
仲見世通りにある風月堂で「玉だれ杏」を求める。
「あぁ~ だめだめ」
受け取った菓子を無造作にデイパックに放り込もうとすると、女将が慌ててとんできた。
手作りのため、傾けると求肥の中で杏が偏ってしまうらしい。
持ち運びの時の向きを習い、丁寧に荷物の底に沈める。
一通り予定を終え、あとはホテルに帰るばかり。
気温が上がってきて、少し喉が渇いた。
ちょうど目の前に有名な洋食店「五明館」 ここでお茶にする。
感じのよいマスターが席まで案内してくれる。
荷物を置いて座ろうとすると、愛嬌たっぷりに言う。
「もしかして、明日長野マラソンを走られる方ですか?」
こういうひと声は本当に嬉しい。えぇと応えると
「いやもう、見るからに体脂肪率が低いって感じで、すぐにわかります!」
ありがとうございますと、思わずにっこり。
帰りの新幹線で、なぜ長野マラソンは人気なのだろうと自問自答した。
「大自然の風景」
「途切れない沿道の応援」
「フィニッシャーズタオル」
「高低差が少ないフラットなコース」
これまでに聞いていたどのレビューにもない答えを、この時手にしていた。
ここで、フォアアスリートを取り出して、GPS捕捉テスト。垂角45度は開けているのだが、なかなかGPSを捕らえられない。そしてお約束の「室内にいますか?」これはNOを選ばないと、そこでGPSがオフになり機能しなくなる。
「数百キロ移動しましたか?」ここは悩んだ。いつもはNOと決まっているが、今日は違う。
新幹線で1時間半、新幹線の時速が200km以上とすれば、まちがいなく数百キロ移動している。迷ったあげくYESを選択。しばらくすると、無事長野上空の衛星を捕捉できた。
大門の交差点は翌日、走る場所。
この地点が長野マラソンコース中、標高が最も高い。
善光寺から長野駅までは、一直線の下り。帰りはタクシーを使わずに歩くことにした。
実際に歩き始めると、かなり下っていることがわかる。
大門までの上りでペースが落ちる分、この下りをしっかり "いただいて" ペースを上げる。
それで他の 1km と均等なラップになるだろう。
高橋尚子がシドニー五輪の勝負どころに宿をとり、何度も走ったというエピソードを思い出した。
アスリートらしき服装をしたランナーが走っている。
歩行者信号が赤なのに、それでも止まらずに走っていく。
右足の指に少し違和感がある。
靴は履き慣れたナイキフリー7.0。問題はないはず。
しばらく時間が経てば忘れる、カラダの信号の一種だろう。
そう思って気軽にやり過ごす。
長野駅のコインロッカーから、旅の荷物を取り出す。
駅のコンコースでは、女子高校生の合唱団が「負けないで」を合唱中。マラソンでは毎回ウォークマンに入れてくる定番。今回も終盤のがんばりどころに2回入れてきた。かなり、リフレーン回数が多かったが、途中で立ち去るのは縁起が悪くなる気がして、最後まで聴き拍手を送る。
ホテルにはたくさんのランナーが集っていた。
今にも決起集会が始まりそうな熱気。
ユースホステルの旅を思い出す。
部屋に入ると、エアコンと加湿器のスイッチを入れて準備にとりかかる。
ナンバーカードの取り付け。
RCチップの取り付け。
会場持参とコインロッカーに入れる荷物の仕分け。
リストにレを入れながら、一つずつ進める。
荷物預かりの専用袋が配られると推察していたが、入っていなかった。
当日荷物預かり係の方が言うには、受付の際、荷物についての説明がされなかったようだ。
to do リストの全項目にレがはいった。
あとは朝食の買い出しと夕食。
ここまでは至って順調にスケジュールが進んでいる。
買い出しメモと財布を握り、17時を回ってもまだ日がある長野駅前へ繰り出した。
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