マラソン1曲めは「今日の日はさようなら」
四十九日で父の遺骨を納めたその場所から 2010年長野マラソンへ向けて走り始めた。
葬儀が終わってからの49日間、この場所から走り始めようと考えていたのだ。
ただ、そうは考えてはみたものの、実際にはトレパン姿にランニングシューズで納骨するわけにはいかない。
やっぱり、やめておくことにしたのだが、期せずしてお坊さんの到着が遅れ、誰かが霊園の入口まで迎えに走ることになり、その役を買って出た。
だからといって、このマラソンを父に捧げるといった虚構に耽ってはいない。
父の供養と自分のマラソンは別次元のもの。
ただ、走っている最中に、何度か父を思うだろう。
ゴールした時には、空に向かって一言くらい言うかも知れない。
今回マラソンで聴く音楽の1曲めは、告別式の終わりにかけた「今日の日はさようなら」
亡くなる前、Amazon で中古のCDを買って父に聴かせたこの曲を歌うのは本田路津子。
【 本田路津子の略歴 】
1949年1月6日 福岡県生まれ 2010年で61歳
子どもの頃にジョーン・バエズを聴き、フォークソングに魅了される。
1970年
ハルミラフォークコンテストにジョーン・バエズの「シルキー」で出場し優勝。歌手デビューのきっかけとなる。
シングル「秋でもないのに」で歌手デビュー。
1972年
NHK朝の連続ドラマ「藍より青く」の主題歌 「耳をすましてごらん」がヒット。
1975年
米国に短期留学して、出会った米国人男性と結婚。そのまま米国で暮らす。
1988年
日本に帰国。
その後は教会コンサートを中心に活動する。
1996年 4月、ベストアルバム「ベスト・コレクション」発売
1997年 2月10日、唯一の著書「耳をすまして―ブックコンサート 」出版
1998年 11月、ベストアルバム「GOLDEN J-POP/THE BEST 本田路津子」発売
2008年 6月、ベストアルバム「GOLDEN☆BEST 本田路津子」発売
2009年 6月に発売されたオムニバスアルバム「日ごとの糧をお与えください-主の祈り-」に参加
本田路津子は森山良子に次ぐ、1970年代の代表的な女性フォークシンガー。
「今日の日はさようなら」は森山良子が1966年に出した曲。
本田はそれをカバーして歌っていた。
お父さんの元へ届いていますか?
お父さんが好きな本田路津子さんの歌声です
私たちが子どもの頃、週末になるとクルマの
運転が好きなお父さんがハンドルを握り
あの小さなスバル360に家族みんなが乗って
ドライブしました
その時カーステレオから流れてきたのが
この澄んだ歌声でしたね
今日の日はさようなら
卒業式で多くの教え子の皆さんを見送りながら
親しんできたこの曲に思いを寄せ・・・
お父さん お陰様で家族共々幸せに
暮らすことができています
ありがとうございました
今日はお父さんのこの世の人生の卒業式です
本当におつかれさまでした。
心からありがとう
CDを手渡した時、ほんの10分ほどの会話から題材を拾い、プロの司会者がまとめてくれた父を送る言葉。
まさか、こんな気の利いた台詞を入れてくれるとは思いがけず、驚いた。音楽に乗せた心のこもったMCに、参列者の方もきっと舌を巻いたことだろう。
号砲を待つスタート前20分でウォークマンのスイッチを入れる。号砲までの時間は、心を静める選曲
レースはそこから始まるのである。
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