レース度外視 37kmの記念写真
37km
堤防沿いには、黄色やピンクの花が咲いている。
せっかくならば、花の名前がわかった方がいいと「白馬植物手帳」で勉強してきたが、やっぱりわからなかった。
道幅が狭く、前の人を抜く時に間隔が狭い。
瞬発力を効かせて、一瞬で前に出るよう努めて抜いていく。
ウォークマンから「負けないで」ZARD
これまでのマラソン5回すべて、セットリストに入れている。
昨日、長野駅のコンコースで聴いた女子高生の合唱を思い出す。
♪ほらそこに、ゴールは近づいてる♪
残すところ5km余り
確かにゴールは近い。
「もうすぐ撮影ポイント」の予告が見えた。
早速、行動を開始。
頭の中に構図ができている。
・1人で中央に映る。
・他の人とカラダがかぶらない。
・頭から靴まで、全身がフレームに収まっている。
・そのレースを象徴する表情。
今回、写真撮影ポイントは5カ所あった。
all sports のサイトを見ると、前半から中盤の撮影ポイントでは複数の人が映り込んだ写真が多く、終盤になるほどピンの写真が多い。
やはり、終盤の写真がよく売れるのだろう。
マラソンは、終盤の表情こそに、そのレースの成否が現れる。
毎回記念として買う写真は、終盤の撮影ポイントと決めている。
ここだけは、レースペースを度外視。
急加速でペースを上げ、前後にぽっかりと空いたスペースに走り込む。
スローダウンして、スペースを見つけるのは、後ろの人とぶつかるリスクがある。
直前に人が居ると、ピンのフレームにならない。
後ろも空いていると、なおよい。
自分だけにピントが合い、後ろの人がぼける被写界深度の浅い写真が撮れる。
やや、前のランナーに近い位置どりでペースキープ。
カメラマンが見えてきたら、速度を緩めて、前を広く開ける。
これが、マラソン5回で学んだ「ピン映り」の鉄則。
カメラマンの直前にきたら、表情をつくる。
きついレースならば、しかめっ面のままがいい。
頑張っている自分の写真をみると、自信が蘇る。
好調なレースならば、満面の笑顔。
それがレース成功の象徴として、記念になる。
今日は笑顔。
カメラマンがシャッターを切ってくれた。果たしてうまく、フレームを切り取ってくれただろうか・・・
できあがった写真をみると、確かに頬が緩んではいるが、ちょっと笑いが足りなかった。
位置取りは最高。
自分が抜いてきた人たちが、遠めに大勢映っている。
好調さを物語るのは足の高さ。
過去のレース写真では、地面からほとんど足が上がっていない。
まるで、競歩の選手のよう。
歩くようなスピードで走っていたからだ。
今回の写真は初めて、カラダが宙に浮いている。
前方の兄ちゃんは、カメラに向かってVサイン。
カメラを向けられると卒業アルバムに載るとでも思っているのか、何か得するという刷り込みがあるのだろう。
37.0kmのエイド
スポーツドリンクがないので、水をとる。
スピードを落とさず、かっさらうように、指を入れて。
ところが、勢い余って水がコップからすべてこぼれ落ち、ちょうど左足のふくらはぎを濡らした。
マラソン雑誌で、ハンドウォーマーを外した途端に失速したランナーのことが紹介されていた。
ちょっとした体温変化で、パフォーマンスががくっと落ちることがあるという。
もしそれが事実ならば、レース中は急激に体温が変わる行為は慎まなければならない。
脚に水をかけるなんて、もってのほかだ。
まさか、これで脚が止まるなんてことになりはしないか?
一瞬、戦慄が走る。
となりのテーブルですぐ、2つめのコップをとり、水を一口だけ飲んで先を急ぐ。
レース序盤に疑っていた尿意らしき違和感は、この時、既に消えている。
38km
コースはいよいよ堤防を離れ、競技場へと近づいていく。
「あと5km」の表示が嬉しい。
道はくねくねと左右に折れ曲がり、ほどほどに狭く走りやすい。
「かすみがうら」後半のコースとよく似ている。
沿道で提供されていたエアサロンパスに、大勢のランナーがたかっている。
足が痛いのはわかるが、今ここで冷却するのはリスクが大きい。
あちこちで、沿道の応援者がチョコレートやキャンディを配っている。
いわゆる「私設エイド」
選手への援助はルールで禁止されているが、ほとんどのマラソン大会は私設エイドを黙認している。
中には「かすみがうらマラソン」のように、私設エイドを名物としてアピールする大会もある。
善意の応援者とランナーの交流。
決して悪いことではない。
だがルールはルール。
日本陸連が主催する長野マラソンは、
「給水、給食、スポンジポイントは主催者で用意します。主催者設置箇所以外で提供を受けることは禁止します」
と明確に禁止を打ち出している。
仮装については「自粛」という表現に止めているが、私設エイドは「禁止」
今日はスポーツの大会に出ているのだから、ルールには従う。
私設エイドの食べ物は受け取らない。
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