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2010年5月15日 (土)

心に響く「fanfare」

長野マラソン2010を走る!13話

26km
いよいよ25kmを超えた。
25kmまで 6分30秒ペースを守る。その目標はクリア。
だがそれは織り込み済みのこと。

Pace ここからは「粘りの走り」第二弾のマラソン。
ペースブレスレットには、30kmまでの5km区間、1km 6分45秒ペースに落とすことが書かれている。

いつもならば25kmを過ぎる頃には、足の付け根や足の甲が痛い。今日は幸い、カラダのどこにも痛みは出ていない。

いけるところまで 6分30秒で押そう。ただ、無理をして残り数キロで地獄を見ることにならぬよう、慎重にいこう。

25.1kmエイドにはこの日、二度めのスポンジ。
だが、あらかじめタイムロスになることは一切しないと決めていたので関心がない。
路上に散乱している物体をみて、高野豆腐?と思ってしまった。

レースは後半勝負。
勝負曲も、25km過ぎに集めてきた。
25kmを過ぎたところで鳴るように入れておいた第1弾は
「fanfare」Mr.children
この4ヶ月、脳が曲に飽きないよう、一切聴かないでおいた。

♪さぁ旅立ちの時はいま♪

気持ちが昂ぶる。
予定通りだ。
セットリストの選曲、曲順は、この局面にこの曲で脳にこう問いかけようと考えて決める。
だがそれがぴたりと、はまることは滅多にない。
たいていは曲を聴く以前に、脳が疲れていて聞こえない。
だが「fanfare」は違った。
まさに狙い通りの覚醒を脳にもたらした。
期せずして、笑顔がこぼれる。
思わず歌う。
周りがびっくりするから、声に出さず歌う。
沿道の人から見れば、ただの変なヤツか。

♪みんな悪戦苦闘してんだ 一人じゃない 頑張れ♪

なるほど、確かにそうだ。
あまりにその場のシチュエーションにぴたりとはまっていて可笑しい。
疲れがリセットされて、意欲に再点火する。
勝手に体が動き出す。
キープではなく、ペースが上がっていく。

27km
子どもの頃、デパートのゲームコーナーにあったドライビング・ゲームのように、コースはくねくねと曲がってやってくる。
最短コースをとることに集中する。
去年の東京マラソンでは、ハイタッチを優先したために、終わってみると960mもオーバーランしていた。今年は限りなく無駄を省きたい。
手をあげて並んでいたスポーツ少年たちと、今日二度めのハイタッチ。

26.5kmで千曲川を渡る。
この時、明らかに調子が上がっていることを実感した。
嬉しくて、思わず声に出して笑ってしまう。

28km
千曲川にかかる橋を渡り終えて右に折れると、堤防の土手。
もうカラダが止まらない。
ペースメーカーはもう要らない。
次々に前を走る人を抜き始めた。
この1km区間が、今日の最速ラップだった。

29km
28.1kmエイドには「まんじゅう」があることが周知されていた。
バナナは「脚がつる原因になる可能性がある」と雑誌に書いてあった *1 のが脳裏にあり、怖くて手が出せないが、まんじゅうは食べたいと思っていた。
だが、この時点で自主給食のスポーツジェルを6袋摂っている。
お腹はいっぱいいっぱい。
まんじゅうに後ろ髪を引かれつつも、遠目に見るだけにした。

去年の今頃は、空腹で足が止まり、レース中に "寝て走りたい"と思っていた。
あの東京での失敗が、今日長野で活きた。

29kmあたりで、沿道から「もうすぐだよ」と女性の声。マラソンでは、残り13kmはもうすぐとは言わない。 おいおい、まだまだでしょ とコナン君の声でツッコム。
反対側の沿道で、女子高生が並んでハイタッチを待っている。
思わず、カラダがそちらに行きかけたが、相手を選んでるようで気が引けたのでやめた。

*1 ランナーズ2009年4月号 岩本能史ランニングラボ

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