同じポーズで放水する男たち
10km
10kmの公式時計で手元のペースブレスレットと照らし合わせる。
4分の貯金
これはロスタイムが4分短く済んだ貯金であり、走りそのものは計画どおり。
速くも遅くもない。
11km
第3エイド手前で、右手に握っていたマイボトルを飲み干し、ボトルをゴミ箱に捨てる。
練習ではいつもe3グリップを両手に握っていた。
これで握るものがなくなった。
いよいよ本番。
長かった長野マラソンプロジェクトも、あと30km。
長野マラソンは日本陸連主催大会。
日本陸連の決定事項、ルールが厳格に適用される。
・抜き打ちのドーピング検査を行うこと
・私設エイド利用の自粛
・走行に不要な仮装の自粛
これらのことが、事前にランナーに周知されていた。
他の大会で見られる着ぐるみやかぶり物は見られない。
帽子の上に動物やキャラクターを乗せて、ささやかな抵抗を試みるランナーがわずかにいるばかり。
その代わり?というか、レース終盤にコスプレの応援者がいた。あれには参った。さすがの日本陸連も、沿道の仮装にはコミットできないだろう。
12km
12.5kmの第4エイドで初めて給水利用。
ここからは、ゴールまでのすべてのエイドでお世話になる。
喉が渇いているかどうかではなく、すべてのエイドに寄り、少しずつ給水すると決めている。
レース前半のエイドはどこも渋滞している。
今日は、ここでタイムロスをするわけにいかない。
混んでいる手前のテーブルはスルー。
空いている奥のテーブルに駆け寄る。
紙コップを取ったら、すぐにテーブルから離れ、コース右側へ出る。
*長野マラソンのエイドはすべて左側にあった
ところが、コース右側にはゴミ箱がない。
再びコース左まで戻る時間が惜しい。
申し訳ないが今日は勘弁を
マラソン人生で初めて、紙コップを路上に捨てた。
スポーツドリンクがある所では必ずスポーツドリンクを摂る。
過去に走った4大会では、速いランナー達でスポーツドリンクが終わってしまい、遅いランナーには水しかないというのがお決まりだったが、長野マラソンではそんなことは一度もなかった。
13km
ふと右手を見やると、ランナーが川縁に並んでいる。
すべて男
皆が同じポーズ
腰のあたりに手を当てている
アルプスの景色に向かって、えっへんと威張っているのか・・
余裕だなぁ・・と思った次の瞬間、状況がのみ込めた。
立ち小便ランナーは、初マラソンの荒川以来、毎回見かける。だが、あそこまで整列しての放水は珍しい。長野マラソン名物と言えるだろう。
あそこに並んでいた人たちは、レースを終え
「いやぁサブ4出ちゃったよ」
と自慢した後に、
「ついでに、しっこも出ちゃったけど」
と自慢しただろうか。
自分にとって都合のいいことしか言わないのはずるい。
ぜひ、会社の上司・同僚、両親、妻、子ども、ランナー仲間に、整列放水に参加したことを報告してもらいたい。
きっと、とても高い評価を得ることだろう。
頭上に立体交差の道路が見える。あれが五輪大橋。
この後、あそこを渡っていく。エリートランナーたちは、もう渡り終えた頃だろうか。
あの橋を渡る頃、自分がどんな気持ちでそこにいるかを想像するのは難しかった。
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