練習で走っていない距離が、なぜ本番で走れるのか
長野マラソン2010を走る!!12話
22km
五輪大橋の料金所を過ぎるとなだらかな下り。
少しだけ吹き始めた風を受け、気持ちよく下ってくると中間点。
今回、練習での最長距離はハーフまで。
「マラソンに向けて、一度は30kmを走っておきたい」
と書いてある文献が多い。
だが自分には、給水もなく、交通規制もない一般道路で 30kmを走る度胸はない。
故障の危険性もある。
実際に知人が一月前、東京マラソンに備えた30kmランで膝を傷め、レース途中で棄権している。
練習で走っていない距離が、なぜ本番で走れるのかはわからない。
初マラソンの時は、それがとてつもなく大きな不安材料だった。
こうしてマラソンを4度走っても、まだよくわからない。
その不思議さが不安と緊張の素となり、マラソンのおもしろさの一つになっている。
わからないなりに、答えを出しておくと
「42.195km走れる練習を集積しているから」
つまり、練習が十分だったから。走ろうと思えば練習でも 42.195kmは走れるだけの十分な練習を積んでいたのだ。
ただ、給水、交通規制などの環境が整わないから、実際には走れない。
そして、練習とレースとではカラダの整備、実際の装備が違う。
もしも、練習が足りていなければ、目標ペースから遅れ失速する。
あるいは途中で歩く。
そして、最悪の場合、収容バスに乗ることになる。
23km
22kmからは、きょう二度めの対面通行。
左手から速いランナー達がやってくる。
片側二車線で走りやすい。
ただ、気温が上がっていて暑い。
折り返してわかったのだが、ここは軽い追い風だった模様。
追い風の中にいると、ランナーは暑さを感じるということを知った。
ウォークマンからは「Hanky Panky」superfly
レース前に観た映画「山形スクリーム」の主題歌。
これはと思って、molaで買って入れた。
これは力がみなぎってくる。
新たなる強力なマラソン向けソングだ。
24km
23.5km「大塚南」の信号で折り返すと逆風。
それまでが追い風だったことに気づく。
こういう時は、集団の後ろについて、前のランナーに風よけになってもらう・・
というのが教科書どおりだが、道幅が広くランナーはばらけていて、風よけになってくれる集団はどこにも居ない。
ペースメーカーを見つけようとするが、周囲のランナーは6分30秒以上で走っていて見付からない。
仕方なく、風の中へと打って出て前へ前へと急ぐ。
前を走っているゴールドナンバーカードのランナーが沿道から声援を受けている。
顔見知りのようで、個人名を呼ばれている。
今回、レースのあちこちで
「おっ、サトウ 頑張れ」
「おう!」
といったやりとりに出会った。
長野の皆さんは知人が走るとなれば、家でじっとはしていられないのだ。
たぶん・・・
今大会、NHKは「ゼッケン」という名詞を排し「ナンバーカード」で統一した模様。
テレビ放送解説の谷川真理はゴールドゼ・・と言いかけて、ナンバーカードと言っていた。
25km
ホワイトリングを右に見ながら右折すると、道がぐっと狭くなる。
道が狭くなると、なぜか集中力が増す。
民家を縫うように走る生活道路、前へ進むことに意識が研ぎ澄まされていく。
沿道に椅子を出して応援するおばあちゃん。
「かすみがうら」で見た光景だ。
あの時も、たくさんのおばあちゃんに力をもらった。
25km通過タイムを確認。
ここで初めて貯金が1分増えて、5分になった。
マラソンを始めて5回め。レース途中に貯金が増えたのは初めてだ。
デコがんばれ
ん・・
デコがんばれ
あ、今呼ばれたぞ
確かに、沿道からの声がそう聞こえた。背中の DECO の文字を見て誰かが声をかけてくれたのだ。
すぐさま振り返り、声の主を探したが、見付からなかった。
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