笑顔を届けてくれた2人の女の子
42km
最後の写真撮影スポット
1回のマラソンで買う写真は1枚と決めている。
写真はウェブサイトで公開されてみなければ、うまく撮れた1枚があるかがわからない。
ここでも入念に位置取り。
前を女の子が走っている。
自分以外のランナーはほとんどへろへろになっているが、その中でただ1人バネのある蹴りで颯爽と走っている彼女。
彼女の後ろにできたスペースを活かして、自分の前に空間をつくる。
その時だ。
彼女がカメラに向かって左手で力こぶポーズ
右手で指さして
「どんなもんだい!」
これにはうけて笑った。
レース4日後、公開された写真。
僕は大爆笑している。
37km地点の作り笑いとは、明らかに笑いの大きさが違う。
狙い通りのピン写真はこの2枚。
結局、写真は2枚買った。
長かった直線がようやく終わり、左折して競技場の接続路へ。
ここにも大勢の応援の皆さんがいて、拍手に包まれる。
かつて、瀬古利彦が平和台競技場に凱旋するシーンをこの目に焼き付けて以来、競技場にゴールするのが夢だった。
「かすみがうらマラソン」のゴールも競技場だったが、こぢんまりとした競技場にはエントランスのトンネルがなく、呆気ないほどあっさりと場内につながっていた。
重要なのはトンネル。
スタンドの下を抜ける暗がり。ランナーを包む一瞬の静寂。
それが場内に入った途端、割れんばかりの拍手に変わる。
暗きょをくぐる前、時計をみる。
5時間ぎりぎりになった時のために、NHKのテレビ放送でトンネルからゴールまでの区間タイムを計っておいた。
2009年大会、男子1位の選手は40秒、女子1位の選手は1分。
プロの女子が1分だから、自分の場合 "必死の思いで走って1分" という目安を頭に入れていた。
ラストスパートしようか・・
いや、それよりも、この残り少ない歓喜の時を ゆっくり楽しもう。
スタンド下のトンネルには大勢の子供チアガールが待っていた。
彼女たちの必死の応援は、トンネルにこだまして僕らランナーの胸を打った。
誰もが彼女たちを見やり、ある者は「ありがとう!」と言い、ある者はお礼の拍手を送る。
トンネルを抜けるとそこは・・
野球場だった
"地面が柔らかい・・
そうだった。ここは野球場だった。
映像では知っていたが、足下の固さまではわからない。
一面に敷かれているのは野球用の人工芝。
それもかなり柔らかい。
これじゃ、どのみちスパートは無理だった。
ライトポールの脇から場内に入り、ライトからレフトへ向かって一周。
ホームベース付近に設けられたゴールへ。
あと30m
向こうから女の子がやってくる。
なんと、Qちゃん逆走ハイタッチだ。
すかさず、右端に寄ってハイタッチ。
制限時間まで、時間と体力を残した余裕のゴール
感極まることはない
ガッツポーズは苦手だ。
一度も歩きたいと思わず、
気を失った時間もなし。
自主給食が功を奏し、脳が最後まで筋肉にフル稼働を指令した。
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