マラソンとおにぎりとエアサロンパス
時計を止めて、レフトポールに向かって順路を進む。
気がつくと右足をひきずっている。
これでよく走れたものだ。
エイドで水をかぶってしまったのは左足。
ついでに右足にもかければよかったか・・
ボランティアの女子が FINISHER と書いたタオルをかけてくれる。
念願のタオル
これが完走の証
Tシャツは参加賞だから誰もがもらえるが、タオルは完走しないともらえない。
ゴール後、タオルをかけてもらえるのは長野マラソン人気の理由の一つ。
2009年からは東京マラソンもこれに倣っている。
「混雑しますから、立ち止まらずに進んでください」
そう言われても、走り終えたランナーが三塁側内野席のフェンス前で座っている。
誰もが暖かい日射しの元で余韻を楽しんでいる。
その胸に去来するのは長かった準備期間
辛かった練習
少しだけ座ろうか
いや立つのが難儀になりそうだ。
フェンスによりかかってしばし、ぼーっとする。
観客席を見渡すと、そこそこに人が入っている。
空は晴れていて暖かい。
レース後、こんなに暖かいのは「湘南国際」以来。
あの時は完走Tシャツももらえず、茫然自失のまま芝生に大の字になっていた。
レフトポールの通路から順路に沿って進む。
まず最初に待っていたのは、ペットボトルのスポーツドリンク。
さほどカラダが水分を求めていない。そのことが、気温がさほど上がらなかったことを物語っている。
クッキー、アミノバリュー、次々と手渡される。
バナナがないのはよい。
生ものはその場で食べなければならず、欲しくない人にとっては無用になる。
かすみがうら2008ではゴール間際、
東京2009ではゴール後にバナナを配ったが、あれは配る場所がまちがっていた。
レース中ずっとスポーツジェルをとりつづけていたので満腹。これ以上はもう受け取るのはよそうと思った時
「はい、おにぎりになります」
あ、はい・・・ 素直に受け取った。
資料で見た時に、どうせ今回も手に入らないだろう、
期待しないようにと忘れることにした おにぎり。
ずっと食べたかった、マラソンのおにぎり。
五度目の正直で、やっと初おにぎり。
食べ物はすべて受け取ってポーチに放り込む。
ボランティアは高校生ばかり。
とても、親切にしてくれた
ウェストポーチからウォークマンを取り出して音楽を止める。
「Life」ステファニーが流れていた。
その次の曲がセットリスト最終曲
「GIFT」 Mr.children
ゴールした後、晴れがましい気持ちで聴こうと、5時間ちょうどに鳴るよう入れておいた。
あそこで音楽を止めずに、最後の「GIFT」まで聴けばよかったと二日後に気づいて悔やんだ。
今も「GIFT」を聴くと感傷的になる。
この時に聴いていたら泣いていたな
高い目標を達成した時にこの曲は似合う。
5時間制限のレースを完走する
これがど素人!マラソン人生の最高峰と考えてきた。
この先、それを超える山に僕は登るだろうか。
もしその時が来れば、この曲をゴールで聴きたい。
シューレースをアイレットから外して(=靴紐を穴から外して)RCチップを外す。
ボランティアに頼めば、外してくれるのはわかっていたが、近くにあった教室机によりかかり、なんとか自力で外す。
右足を引きずりながら歩く身には、競技場から荷物受け取り場所までの道のりはとても遠かった。
更衣室にあつらえられた体育館には入らず、お日様の下、芝生の上で着換えることにする。
やはりマラソン後は、お日様の下が似合う。
よく頑張ってくれた両足、腰、背中に
思い切り、エアーサロンパスを振りかける。
去年の東京マラソンではレース後に久光製薬がミニ缶を配っていた。
それを一缶使い切ると、翌日の筋肉痛がまったくなかった。
その威力に着目し今回は自分で買ってきたが、筋肉痛は三日残った。
今思うに、去年は足を使う前に空腹で足が止まったのだ。
「うゎ、思い切り吸い込んでしまった」
風にのったサロンパスが隣りにいた女性を直撃。
聞こえるように、大きな声でつっこまれた。
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