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2010年7月11日 (日)

サッカーの勝敗は、なぜ監督によって左右されるのか?

7月7日
ベスト4
スペイン 1-0 ドイツ

ユーロ2008決勝で対戦した両チーム。
1-0というスコアもその時とまったく同じ。

耳にたこができるほど「美しいサッカー」と言われるスペインチーム
美しい?パスをする選手たちもさることながら、快進撃の要因は監督にある。

元スペイン代表選手サルガドがレキップに寄稿した記事を、読売新聞夕刊が連載している。
スペインのデル・ボスケ監督、ポルトガルのケイロス監督
レアル・マドリーで その両方の元で選手生活を経験したサルガド。
両監督に対する評価がおもしろい。

デル・ボスケ監督については
「怒ったところを見たことがない。温厚で選手からの信頼が厚い」
と、その人柄を絶賛。
ケイロス監督については人柄に一切触れず、戦術の評価だけを書いている。
「行間を読んでくれよ」という示唆にあふれた論説だ。

野球とサッカーを比較した場合、監督の資質が勝負の結果に与える影響は、サッカーが格段に大きい。

実際にプレーするのは選手であり、選手がチームの勝利のために働くチームが強い。
その動機付けをするのが監督の仕事であることは、両者同じである。

どの選手をどの場面で使うかを監督が決めるのも両者同じ。
だが、その影響の度合いが大きく異なる。

野球は競技が単純な分、選手の比重が高い。
投手は決まった位置から投げ、打者は決まった位置から打つ。
打つと、決められた直線上を 1塁、2塁、3塁と 決められた順に走り、得点を狙う。
その場で対処すればよい相手が1人(走者を含めても4人)に限られるうえに、試合の大半で時間が止まっている。
対戦成績、球種、癖など過去データを元に作戦を練る作業はシンプルかつ、時間にゆとりがある。

一方、サッカーは複雑かつ、迅速な判断が求められる。
自陣から敵陣のゴールにたどり着くまで、広いグラウンドのどこを通ってもよい。
そこには味方10人、相手10人がいる。
仮にパス4本でシュートまで行くとすれば、その選択肢は 9×9×9×9
6,561通りの道筋がある。
それぞれの位置に立ちはだかる10人の敵という要因を加味して、その中からたった1本、ゴールへの道筋を見つける。

それを見つけることができるのは、選手と監督。
特に監督は、より客観的な判断ができる場所にいる。監督が見つけて、布陣の変更、選手交代という2つの権限を公使した場合、ゴールにつながる確率が高まる。

どのスポーツにおいても監督という役割には、経験、知識、情報を元に現状を分析する能力が求められる。
ただ、複雑かつ、迅速な判断が求められるサッカーにおいては、その能力が勝敗を分けることが多い。

デル・ボスケは1999-2000からの4シーズン、レアル・マドリーの監督を務め、リーガ優勝2回、UEFACL優勝2回。
レアル・マドリーはデル・ボスケ退任後、UEFACLで優勝していない。

スペイン代表監督に就任したのは、前任のアラゴネス監督(デルボスケより12歳年上)がユーロ2008優勝後に退任した後。
今大会で優勝すれば、代表監督して初めてのタイトルになる。
W杯ではこれまで代表チームとして一つにまとまることがなく、ベスト8が最高だったスペインチーム。ここまで人心を一つにしたデル・ボスケの手腕はすばらしい。

スコラーリの退任後、ポルトガルにもこういう人材が欲しかった。
ポルトガルチームは、この次はいつ浮上できるだろう。
モウリーニョがレアル・マドリーで黄金時代を築いた後、ポルトガルを率いるまでの間、長い低迷期を過ごすのではないだろうか。

前回のW杯では共に退場して、デコと仲良く試合を眺めていたジオ。ジオバンニ・ファンブロンクホルスト、その人柄には特別なシンパシーを抱く。彼には現役生活の最後に有終の美を飾ってもらいたい。ここまで、判定の援護もなく自力で道を切り開いてきた NETHERLANDSこそが、W杯8番めの優勝国に相応しい。

欧州サッカー用語集

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