サッカーにおける「消えている時間帯」と、野球の「打ち直し」
6月29日
ベスト16
スペイン-ポルトガル
今日もスタメンにデコの名前がない。
ドゥダ、アモリムに負傷欠場を示す「i」マーク
デコからは i がとれて、ベンチ入りサブメンバーとなっている。
スタメンは逃したものの、恐らく後半20分あたりから出番があるだろう。
デコのW杯はまだ続いている。
この時はそう考えていた。
1トップのFWはブラジル戦に続いて、この日もリエジソンではなくアルメイダ。
結果的にこの選択は、凶と出た。
リーガに所属しているポルトガル選手4人中、DFぺぺ(レアル・マドリー)、FWシモン MFチアゴ(アトレティコ・マドリー)が先発。ミゲル(バレンシア)には出番が回ってこなかった。
ポルトガル選手は白いジャージを羽織っている。
away扱いのゲームのため、ユニフォームは2ndの白に緑のパンツ。
スペインのプジョルは顔が引き締まっている。緊張している様子。
縦横比率がテレビと現実では違うために、芸能人はテレビで観るよりも実物のほうが細い。
プジョルも生で見たほうが細いのだが、今日は画面で観ても十分細い。
ホーム扱いのスペイン国歌が先に流れる。
スペイン国歌には歌詞がない。
スペインのスポーツ選手は五輪やW杯で国歌が流れる間、音階を口ずさむか宙をにらんできた。
そこで国歌に歌詞をつけることになり、2008年に発表寸前まで行ったのだが、結局はお蔵入りになった。
今日もスペイン選手は全員が口を閉じている。
一方、慣れ親しんだポルトガル国歌。
この時、これを聴くのが最後になるとは思っても居なかった。
ブラジル人のぺぺも歌っている。
ロナウドは起きているが、歌っていない。
ポルトガルの偉い人たちは、こういう態度も気に入らないのだろう。
主審はアルゼンチン人のバルダッシ審判。
ポルトガルは2006年W杯ではアンリの尻餅PK、2008年ユーロではバラックのファウル見逃しによる得点と2大会連続で、判定に泣き最後のゲームを落としている。
今日はうまく裁かなくてよいから、誤審だけは勘弁して欲しい。
前半
1分 トーレスがシュート。エドワルドがファインセーブ
3分 ビジャのシュート。これも辛うじてエドワルドが弾く。
始まって間もないというのに、いきなりスペインの決定的な機会がつづく。
7分 ポルトガルがつづけてCK2本
8分 アルメイダへのロングボール。走りこんだアルメイダ、あと一歩届かず。
9分 ロナウドがアルメイダにクロスを入れる。また届かず。
20分 GKカシージャスが弾いた球にアルメイダ詰めるが及ばず。
27分 ロナウドのFKは急激に落ちた。それをカシージャスがファンブル。2人の選手が詰めていたが、ボールはその頭を超えていった。結果的にはこの試合最大のチャンスはここ。時の運がポルトガルにあれば、この試合は 1-0 でポルトガルのものだった。
38分 メイレレスがクロスを上げる。アルメイダ届かず。
42分 コエントランが入れたボールにチアゴが走り込みヘッド。左へはずれる。この日チアゴがいたことをこの場面まで忘れていた。
サッカーでは、一定時間ボールに絡まない選手に対して「消えている時間帯があった」と評する。
一般的には「さぼっていた」「ゲームプランになじんでいなかった」という意味合いの悪い評価として使われる。
だが、消えていることが悪だとは思わない。
一つには、本当にさぼっているのかも知れないが、90分交替なしを確約されている場合は、スタミナの温存は悪いことではない。
もう一つの可能性としては、相手の球がその守備位置を経由しなかったということがある。
ボールをはたくハブの役割をする選手と正対している選手は、よくテレビに映るが、その対角線にいる選手はテレビの視聴者から観れば消えているように映る。
この日のチアゴが果たして、どの"消えている"だったのかは、スタジアムで観ていた人にしかわからない。
野球に「打ち直し」という言葉がある。
ポール際にホームラン性の大飛球を打った後、同じ打席でホームランを打つことだ。
1度目の失敗で学習し、修正を加えることで次のプレーが好結果を残す。
この日、アルメイダには打ち直しの予感がぷんぷんと漂っていた。
前半だけで4度の惜しいシーンを経験したアルメイダが、この日の決勝点をあげるのではないか?
ポルトガルびいきの目にはそう映った。
引き気味に守り、攻撃は少ない手数で一気に前線へ。
結果は 0-0 このゲームプランは正しい。
さぁ後半はデコの出番があるか。
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