おめでとう 沢村拓一君

2010年10月28日、NPB第46回ドラフト会議。
西武の不祥事、横浜のルール違反（那須野巧・契約金上限破り）のため、選手側に選択の自由がなくなってから4度目、高校生／大学・社会人が再統合されてから3度目のドラフト会議。
今年も有力選手がクジに人生を賭けた。

斎藤佑樹
さいとう　ゆうき
1988年
6月6日、群馬県生まれ

2004年
4月、早稲田実業高校入学

2006年
8月、夏の甲子園大会　駒大苫小牧の田中（現在は楽天）と決勝再試合まで投げ合い優勝。
早稲田実業高校は夏の甲子園初優勝だった。
母に持たされたハンドタオルを使いマウンド上で汗を拭いたことで、メディアからハンカチ王子と名づけられる。
その後プロゴルフ界には「ハニカミ王子」（石川遼）、駅弁界には「牛肉王子」（新神戸駅）と数々の王子が誕生。その先駆けとなった。

2007年
3月、ドラフトの希望入団枠撤廃が決まる。これで4年後のドラフトで希望球団を選ぶことはできなくなった。斎藤は将来的なメジャー志望を口にするようになったが、結局4年後にはNPBへのプロ志望届けを出した。

3月、両親の著書「佑樹―家族がつづった物語」斎藤寿孝,斎藤しづ子　小学館　出版
4月、早稲田大学入学

繰り上げ1位で広島が単独指名した福井優也は、2005年秋のドラフトで巨人に指名されている。

福井優也
ふくい　ゆうや
1988年2月8日、岡山県生まれ
中学1年から野球を始める。

2004年
春の選抜甲子園　優勝投手
夏の甲子園　準優勝投手

2005年
週刊ベースボール2005/10/10号　高校ドラフト展望記事で紹介される。
甲子園での経歴のみで特徴の記述は皆無。記者の評価の低さがうかがえた。

10月、高校生ドラフトで巨人が4巡め指名
巨人は1巡 辻内崇伸、3巡 加登脇卓真と福井の3人を指名。
取材に対して「巨人の大ファンなので光栄」と答えた。

11月4日、仮契約を前に入団辞退。
「評価が低かったので自信がなくなった」旨のコメントを父親が代理で発表。
ドラフトでの巨人入団拒否は通算34人め。

2007年
1浪の後、早稲田大学に入学。年齢は１つ下の斎藤佑樹と同級生となる。東京6大学リーグ戦では初戦に斎藤、２戦めに福井が投げることが多かった。

プロ志望届けを出しておきながら、指名順位が低くて自信がなくなった福井。
こうして「1位の評価」を得たことで、自信が持てたはず。
素人目には4年を大学で過ごすよりも、プロの二軍で朝から晩まで鍛えたほうが、野球が巧くなりそうだが、大学という場で得られるものが大きいことを彼が証明するかも知れない。

沢村拓一
さわむら　ひろかず
1988年4月3日栃木県生まれ
佐野日大高校→中央大学

アマチュア選手は希望球団をメディアに言ってはいけないという決まりがあるそうで、四大新聞は「沢村は巨人志望。指名を打診した他球団のスカウトには、指名しても入団しませんと言った」というような噂話はどこも書かない。

交渉権確定直後の共同インタビュー、TBSのインタビュアーに「巨人志望だと聞いていますが」と水を向けられて、もう言ってもいいのか？と戸惑う沢村が初々しかった。

過去に巨人が1位指名を事前に公言した選手は、いずれも単独指名となっている。
と言ってもそれは元木大介、長野久義といった"巨人に入るために浪人した選手"
沢村の場合、過去にドラフト指名されていないので浪人歴はなし。
ドラフト当日の讀賣新聞朝刊は「中日」「巨人」の沢村指名を予想している。
冷静に考えれば、巨人ファンを中日が指名するわけがない。
逆を言えば、中日ファンで中日を熱望している選手に巨人が横やりを入れることもない。

スポーツ紙には「楽天」「日本ハム」も指名を検討とあったが、いずれも沢村を指名しなかった。
単に評価が低かっただけなのか、何かそれ以外の理由があるのかはわからない。
評価が低いと言えば、讀賣系列の報知新聞の選手紹介で、沢村を酷評しているのに興味を引かれた。
会見で沢村は「18番が欲しい」と述べた。
巨人で「沢村」と言えば沢村賞の冠になっている戦時中の名投手。その背番号「14」は巨人で初めての永久欠番。＊黒沢の「4」も同時期
「さわむらくん、きみは名字おなじだから１４なんてどうかね」
と言われる前に先手を打ったのかも知れない。

江川引退後、巨人には「なぜか抑えてしまう投手」はいても「抑えて当然の投手」はいない。
沢村拓一には守備の時間も楽しめる快投を期待したい。

しらべるでは、今後毎試合 沢村拓一 を追っかけます　→沢村拓一

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