デコの2010年を振り返る。3
5月に入り、awayでリバプールを破ったことが勝因となり、マンチェスター・ユナイテッドとの優勝争いを僅差で制した。
デコが移籍して2年めで、プレミアリーグの優勝。
しかし、優勝が決まる試合にデコの姿はなかった。
5月にはいると、デコの移籍先として「フルミネンセ」の名前が挙がり始めた。
5月15日、チェルシーは第129回FAカップ決勝でポーツマスを破り、大会二連覇。
デコはベンチにも入らなかった。
その頃日本代表の周りでは、メディアとファンの多くが「0勝3敗」を覚悟し始めていた。
5月24日、埼玉で大韓民国に敗れた試合後、岡田監督は日本サッカー協会の犬飼基昭会長に「このまま続けていいんですか」と進退伺いを立てている。この時点で、有給休暇をとって南アフリカに旅立つのを思いとどまった人が、少なくないだろう。
ところが、日本代表には本田圭佑というカードがあった。
それまで重用していなかった松井というカードもあった。
なりふり構わず、本田・松井中心のチームに急遽変更することで、結果的に岡田監督は「世紀のダメ監督」から一転「そこそこの監督」になってしまった。
日本には「機を見るに敏」という言葉があるが、それ以上墜ちようがないところまで墜ちたことが、岡田監督には幸運だった。
そして、最後まで人の言うことに耳を貸さない男は、悪いことにポルトガルチームの方にいた。
5月18日
会見したデコは、フルミネンセと交渉を持ったことを明かしたが「W杯後に決断する」とだけ言って、移籍話を封印。最後のW杯に入って行く。
5月23日
ポルトガルチームの暫定メンバー入りしていたDFぺぺに復帰の見通しが立った。
欠けたのは、故障中のボジングワ(チェルシー)だけ。
充分に優勝が狙える陣容。本来ならば期待が高まろうものだが、FIFAランク117位のカーボベルデとの親善試合で 0-0 の引き分け。
遠く離れた日本から、この結果だけでチーム状況を読み取ることは難しかった。
5月26日発表のFIFAランキング
1位 ブラジル
2位 スペイン
3位 ポルトガル
ポルトガルはブラジルと同じG組。
勝ち上がったベスト16の相手は恐らくスペイン。
スロースタートしていては、調子が上がる前にW杯が終わってしまう。
スペイン戦までを乗り切れば、後は一気に頂点まで駆け上がれる・・・
そう気を紛らすしかなかった。
6月1日
ホームにカメルーンを迎えた親善試合。
デコの胸にはいつもの「20」
10をつけたのはFWのダニ。
結局、デコがポルトガルの10をつけたのは、親善試合と予選だけに終わった。
フル出場したデコは、まったくさび付いていないプレーを見せた。
「W杯初戦まであと2週間ある。チームはもっと良くなるだろう」
デコの言葉にファンは心躍った。
まさか、あんな結末が待っているとも知らず。
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