東京マラソン2011を走る方へ 目標は完走ですか？

「東京マラソン2011」が初マラソンであるという方にお尋ねします。
あなたの目標は「完走」ですか？

生涯で初めて 42.195km を走るというあなたは、自分が果たしてその距離を走りきれるのか、想像がつかないはずです。
そこで、過去のデータに目安を求めるでしょう。

次の数字は、第1回から第4回の完走率です。
1 96.44%
2 97.39%
3 96.56%
4 94.08%

過去4回の実績では「完走」できなかった人は 5%未満。つまり、100人中5人以下ということです。
年々、東京マラソンの参加者は素人化しています。
第1回の2007年こそ、マラソンに関心がある人しか応募していませんでしたが、全国に生中継されメディアが報じることで、もうすっかり一般市民の関心事となりました。
「東京マラソンに当たったら、走り始める」というど素人は年々、比率が上がっており、それが完走率の低下に現れています。

そんな素人が走っても、非完走率は5%未満。
自分がその20人に1人に入るとは、とても思えない。
そう思うと、ちょっと不安が和らぐはずです。
その考え方は正しいです。
恐らくあなたは、完走するでしょう。

いや、正確に言うと「完走として扱われるでしょう」でした。
ルール上、制限時間以内にゴールすれば「完走」ですが、それは完走扱いです。
完走とは、歩かずに走り切ってゴールしたことを言います。

歩きながらゴールしたあなたの初マラソン。
ゴールタイムは、おそらく6時間～7時間の間になります。

東京マラソンを走った翌週、あなたは少しはにかんで、こう言うでしょう。
「完走したよ。タイムは6時間30分。でも途中歩いちゃったから、厳密にいうと完走じゃないけどね」
そんなあなたを、誰もがこぞって讃えます。
だって、周りの人はマラソンのスタートラインにも立っていない、向こう岸の人たち。
這おうが歩こうが、スタートラインに立ったあなたとは、別世界の人たちですから。

ところで、歩かずに走り切ってゴールした場合はどうでしょう。
一度も歩かずに、走り切ってゴールした場合、ゴールタイムは6時間を切るかどうか。
ロスタイムを差し引いた「ネットタイム」では6時間を切れるでしょう。

マラソンは、必ずどこかで歩きたくなります。
ずいぶん走ってきた後なので、歩くと言っても辛いです。

その歩きたい欲求をはねのけて、歩くような速さでも走り続けること。
それは、歩いてしまうことの3倍は辛いです。
しかし「完走扱い」の達成感と比べた「完走」の達成感は３倍大きい。

ルール上の完走率は95%かも知れませんが、走りきる"完走"率は、恐らく60%に満たないでしょう。6時間以降でゴールする集団にいると、まるで「歩け歩け大会」に来たのかと思うほど、皆歩いています。

初マラソンは「完走扱い」でもいいと思います。
2度め、3度めのマラソンで「完走」という階段を上るのもいいでしょう。
自分はそうでした。

しかし、せっかくここまで数ヶ月にわたって準備をしてきたのです。
「もっと、目標を欲張っておけばよかった」
レースが終わってから、慎重になりすぎたことを悔やむかも知れません。

だから、これだけは、レース前に決めておくことです。
自分の目標は「完走」なのか「完走扱い」なのか。

東京マラソンを走った翌週、あなたは少し得意げに、こう言うでしょう。
「完走したよ。タイムは5時間55分。タイムは決して速くはないけれど、一度も歩かなかったんだよ」

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